Chapter.002 覚醒
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は会えなくなりますよ」
「ねえ、お姉さま。……私、今回の二人を見ていて気付いたことがあったの。解ったことがあったの」
「解ったこと、ですか?」
「「縁」とは結ばれるものではなく自らが結ぶもの、だって。だから私が天上界に戻っても仙太郎くんとはまたきっと逢えるわ」
私と仙太郎の仲を裂きたいのなら反陽子爆弾でも持ってきなさい、と胸を張った。
ウルドは胸の中で呟いた。
だけどこのまま交際を続けていたら、やがてこの娘と仙太郎くんは「裁きの門」を通らなければならなくなるわね。この二人にそこまでの覚悟があるのかしら、──でもそれは、もっとずっと先の話よね。私はこの娘がりっぱな一級神になるまで教え導くだけだわ。
「よし、明日から修行をつけてあげるわ、だけど今日のところは……」
顎の先に人差し指をあてた。
「螢一の誕生会ね!!」
びしぃっ、とばかりに指をさす。
「披露宴もいたしましょうか」
ノッてきたペイオースにウルドは難色を示す。
「それは……螢一のお父さんとかお母さんの都合もあるし、今日のところは「誕生会」だけにするしかないわね」
「しかし、この場所ではいささか狭いな」
小首をかしげるリンド。に対して。
「本堂なら広いわよ」
とスクルド。
なら決まりね。とハイタッチするペイオースとウルド。
しかし今の季節、人間の螢一にとっては「本堂は寒い」のだ。
「ならば結界を張りましょう」
「飾り付けは私たちが」
「後は料理ね、ベルダンディー、お願いできるわね」
「はい、もちろん」
メイプルが手を上げた。
「私も手伝いましょうか」
「え、いいのですか?」
「いいもなにも、本来ならもっと人数は少ないはずではなかったのかしら」
「ええ、ちいさなお誕生会を開くつもりでした」
「いきなり八人に増えてしまって、さすがのあなたでもお手伝いが必要でしょう。私は材料の生産と下ごしらえ、ベルダンディーさんはそこから先の「お料理」でいいかしら」
「はい! 助かります」
いまさらっと凄いことを言わなかったかメイプルは。材料の生産、一級神ならありなのか?
ベルダンディーも作り出せるだろう、しないのは一日に使える神力の総量が限られているためだ。
ちなみに、女神たちも食事は出来る。基本的にはユグドラシルから活動源を得ているが、人間のように食事から活動源をえる事もできる。食べれば排泄となるのだが、女神たちは人間よりはるかに優れた消化器官を持っているため、回数と量もずっと少ない。
森里屋敷の炊事場。
「にしても、あなたはよくこのような前時代的な設備で食事を作っておりますね」
煮炊きは薪、ちいさな冷蔵庫と極めつけは、手押しで組み上げ式のポンプ。食器戸棚なども古ぼけていて小さい。
ニッコリとベルダンディ
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