エピローグ
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を少しも変えることなくキュゥべえを睨む。
キュゥべえもまた無表情のまま、会話を続ける。
『もっとも、君がホムンクルスだということは調べが付いている。ボンドルドの遺産であることもね』
「遺産……つまり、お父様の死は、監督役も知っていることだということかね」
キングの問いへ、キュゥべえは頷く。
『そうだね。僕が……抹殺した』
キュゥべえの赤い眼に妖しい光が灯る。
『彼が作った賢者の石の資料も全て廃棄した。後は君さえいなくなれば、僕たち以外の賢者の石はなくなる』
「目的は……この私の賢者の石か」
キングは自らの胸に触れる。
人間ならば誰にでもあるはずの心臓の鼓動。だが、キングに返ってくるのは心臓ではなく石の鼓動。
「なるほど。それでは他の賢者の石は始末したのかね? 私の兄弟には、幼い小娘と悪趣味な蝶がいるが」
『彼の賢者の石は粗悪品だ。生きられるのも長くはないだろう。それに、妹は死亡を確認しているから問題ない。だが、君の賢者の石はそうはいかない』
静止した姿勢のキュゥべえが、動く。
いつ、それを持ち出したのか、その小動物の耳には、分不相応な指輪が括りつけられていた。
『完璧に近い錬成を行われている賢者の石。みすみす見逃せば、新たな聖杯となる可能性もある。特に君のように、魔力練度が高いホムンクルスが宿していればね』
『ドライバーオン ナウ』
それを腰に掲げると、指輪を中心にベルトが出現する。
ワイズドライバーと名付けられたベルトを操作すると同時に、それは呪文詠唱を開始。
『シャバドゥビダッチヘンシーン シャバドゥビダッチヘンシーン』
『変身』
『チェンジ ナウ』
そして発生するオレンジの魔法陣。
それは、キュゥべえの小さな体を包み、そのまま球を描くように回転。
すると、キュゥべえの体は人型に変形していく。
白い魔法使い。
固有の名詞を定めないそれは、右手に指輪を付け加える。
『コネクト ナウ』
新たに発生した魔法陣より引き出すハーメルケイン。
それを見つめながら、キングは窓際に置かれたサーベルを手に取る。
「ふむ……アポイントのない面会はお断りしたいのだが……幸い、次の予定は一時間後だ」
サーベルの刃先が、白い魔法使いに向けられる。同時に、白い魔法使いもまた、ハーメルケインを構えた。
「全く。どうして人間やそれに類する生き物は、自らの生命の危機でさえ、優先順位を違えるかな。本当に理解できないよ」
さきほどまでは直接脳に語り掛けてきていた、所謂テレパシーでの会話だったが、変身することにより、実際に肉声となるようだ。白い魔法使いに対し、キングはその眼帯をめくりながら答え
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