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ドリトル先生の長崎での出会い
第十二幕その四

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 王子もお家に来てトミーも執事さんも入って晩ご飯を食べてです。
 それからカステラを食べつつ長崎のお話なりましたが王子は長崎のカステラを食べながらこんなことを言いました。
「僕も長崎は行ったことあるよ」
「素敵な場所でしたね」 
 執事さんも笑顔で言います。
「左様でしたね」
「それでグラバー園も行ったね」
「佐世保の方も」
「そしてハウステンボスもね」
「まことによかったです」
「うん、けれどね」
 それでもというのでした。
「蝶々さんのお話は」
「実に悲しいものです」
「全くだよ」
「そのお話が救われるなら」
「僕達も応援するよ」
「心から」
「是非ね、そうせずにだよ」
 王子は切実な声で言いました。
「いられないよ」
「何があろうとも」
「そうだよね」
「僕もです」
 トミーもお茶を飲みつつ言いました、飲んでいるお茶ば紅茶でカステラにも実によく合っていて美味しいです。
「蝶々さんと中尉が生まれ変わっているなら」
「それならだね」
「今度こそって思います」 
 先生に言いました。
「そしてです」
「そのうえでだね」
「幸せになって欲しいです」
「僕も思うよ、ただね」
「ただ?」
「その人達がやったことじゃないから」
 だからだというのです。
「反省や後悔はね」
「しなくていいですね」
「中尉の子孫の人達も」 
「蝶々さんの親戚の子孫の人達も」
「皆ね」
「そんなことは思わなくていいですね」
「そうだよ、ただもう人種や宗教の偏見を持たないで」
 そうであってというのです。
「お互いを大切にして」
「幸せになることですね」
「そのことが大事だよ、蝶々さんは何を望んでいたか」
「愛ですね」
「中尉を愛していて」
 そうであってというのです。
「お子さんを愛しているから」
「だからですね」
「中尉からの愛をね」 
 それをというのです。
「望んでいたよ」
「蝶々さんは愛されていると思っていたね」
 王子は紅茶を飲みつつ悲しいお顔で言いました。
「そうだったね」
「ずっとね」
「そして中尉が戻ってきて」
「アメリカで永遠に愛の生活を送ることをね」
「望んでいたね」
「そうだったんだ」
 こうお話するのでした。
「ずっとね」
「だからだね」
「生まれ変わったなら」
 蝶々夫人のお話が本当のもので、です。
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