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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第3章 高校3年生
仲直りと初めての挫折
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夏みたいに暑いの。純也さん、日本に帰ってきたら
茹
(
ゆ
)
だっちゃいそう」
『それは困るなぁ。でも、あと二、三日後には帰国する予定だから。仕事も立て込んでるみたいだしね。でも、どこかで予定を空けて愛美ちゃんに会いに行くよ』
「うん! じゃあ、気をつけて帰ってきてね。わたしも明日からまた学校の勉強頑張る。あと、短編集のゲラのチェックもやらないといけないから、そっちも」
『現役高校生作家も大変だな。でも、何事にも一生懸命な愛美ちゃんならどっちも頑張れるって、俺も信じてるよ。……夏休みの宿題はちゃんと終わった?』
「大丈夫! 今年もちゃんと全部終わらせたから。――それじゃ、帰国したらまた連絡下さい」
『分かった。じゃあまたね、愛美ちゃん。メッセージくれて嬉しかったよ』
「うん」
――愛美が電話を終えると、嬉しそうに笑うさやかと珠莉の顔がそこにはあった。二人は通話が終わるまでずっと、成り行きを見守ってくれていたようだ。
「純也さんと無事に関係修復できてよかったじゃん、愛美」
「お二人がギクシャクしてると、私たちも何だか落ち着かなかったのよねえ。だから、無事に仲直りして下さってよかったわ」
「さやかちゃん、珠莉ちゃん、心配かけてごめんね。でも、わたしと純也さんはこれでもう大丈夫。見守ってくれてありがと」
思えば七月に彼とケンカをしてから、この二人の親友にもずいぶんヤキモキさせてしまっていた。彼女たちのためにも、こうして無事に彼との仲を修復できてよかったと愛美は思った。
「――さて、一応形だけでもおじさま≠ノ報告しとかないとね」
あくまで愛美が「純也さんとあしながおじさん≠ヘ別人」、そう思っているように彼には思わせておかなければ話がややこしくなる。彼は多分、〈わかば園〉の聡美園長にも愛美から届く手紙のことを話しているだろうから。
(……そういえば、園長先生とか〈わかば園〉のみんな、元気にしてるかな)
ふとそんなことを考えながら、愛美はスーツケースからレターパッドとペンケースなどを取り出した。
****
『拝啓、あしながおじさん。
お元気ですか? わたしは今日も元気です。
今日、さやかちゃんと一緒に〈双葉寮〉に帰ってきました。明日から二学期が始まります。
今年の夏休みも、ワーカーホリックの中学校の宿題はバッチリ終わらせました! さやかちゃんも。
珠莉ちゃんはこの夏、モデルオーディションを何誌も受けて、ついにファッション誌の専属モデルに合格したそうです! わたしに続いて、珠莉ちゃんも夢を叶えたんだって思うと、わたし嬉しくて!
二学期には自分の進路を決めなきゃいけないから、多分一学期までより学校生活も忙しくなりそう。わたしは作家のお仕事も
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