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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第3章 高校3年生
仲直りと初めての挫折
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と今ごろ、あなたとケンカになってしまったことを後悔していらしてよ。もしかしたら、コアラでもご覧になりながら愛美さんのことを考えてらっしゃるかもしれないわね」

「コアラ……、ぷくく……っ」

 その光景を想像した愛美は、思わず吹き出した。

「ダメだよー、愛美。笑っちゃ」

「そういうさやかちゃんだって笑ってるじゃない」

 あれだけ悩んでいたというのに、この親友二人のおかげで愛美の悩みなんてちっぽけなものに思えてきてしまうから不思議だ。

「……よしっ! 二人とも、励ましてくれてありがとね。おかげでわたし、なんかスッキリした。さっそく純也さんにメッセージ送ってみるよ」

 まずは彼に「ごめんなさい」と謝らなければ、と愛美は決意した。でも電話にしないのは、彼がもしかしたらまだオーストラリアにいるかもしれないので、時差のことを考えたからだった。
 その点、メッセージなら彼の気づいたタイミングで見てもらえるし、既読がつけば見てくれたことがすぐに分かる。それだけでも安心材料になると思ったからだ。

「そうだね、あたしもそれがいいと思うな」

「私もそう思うわ。仲直りは早いに越したことはないもの」

「うん、そうだよね」

 というわけで、愛美はさっそく純也さんにメッセージを送信した。


『純也さん、わたし、ついさっき寮に帰ってきました。
 夏は意固地な態度取っちゃってごめんなさい。わたしもちょっと大人げなかったかな、って反省してます。
 純也さんは今、まだオーストラリアですか? このメッセージに気づいたら、また連絡下さい』


「…………なんか、久しぶりだからめちゃめちゃ他人行儀な文体になっちゃった。――あ」

 自分で書き込んだ内容に苦笑いしていると、メッセージにすぐ既読マークがついた。

「既読ついた。すぐに気づいてもらえたみたい」

「えっ、マジ? ……あ、ホントだ」

「よかったわね、愛美さん。オーストラリアとだったら時差が一時間しかないから、きっとすぐに純也叔父さまから連絡が来るわよ」

 ……と珠莉が言い終わらないうちに、電話がかかってきた。発信元は純也さんの携帯だ。

「……はい。純也さん?」

『愛美ちゃん、久しぶりだね。メッセージ見たよ』

「うん……」

 本当は彼に言いたいことがいっぱいあるのに、彼の声を聞いただけで愛美の胸はいっぱいになった。

『……あのさ、俺の方こそごめん。あの時はちょっと言い過ぎたよ。大人げなかったのは俺の方だ』

「ううん! そんなこと……」

『君がさやかちゃんの実家に行ってたことは、珠莉から聞いた。ホントは長野で会えたら、その時に仲直りしたいと思ってたけど、君が来ないって分かってどうしようかと思って。ま
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