激闘編
第百三話 第二次国境会戦(後)
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宇宙暦796年7月20日20:00
フォルゲン宙域、ヴァルトブルグ星系、自由惑星同盟、自由惑星同盟軍、第一艦隊旗艦ヒューベリオン、
ヤン・ウェンリー
後から現れた三個艦隊…おそらくミューゼル大将の率いる辺境守備の本隊だ。中央に位置する艦隊の旗艦がブリュンヒルトという美しい形の艦である事がそれを示している。敵三個艦隊の合計兵力と、私の艦隊と第八艦隊の合計兵力にはそれほど差はないが、戦術単位は向こうの方が多い。きつい状況だが、下がる訳にはいかない。
「防御力の高い戦艦を前に出して、その影から巡航艦に砲撃させてはどうだろう…ヤン、いいか」
「そうだね」
私の了承と共に、ラップがムライ中佐に目配せをする。
「それと…ラップ、空戦隊を出そう。第ハ艦隊にも空戦隊を出撃させるよう打電してくれないか」
「…空戦隊…まだ早くないか?どうするんだ?」
「敵艦の機関部だけを狙わせて、漂流させる」
「なんて奴だ…此方への攻撃どころじゃないという状況にする訳か…だが、敵の空戦隊も出てくるんじゃないのか?」
「敵さんが空戦隊を出して来る様なら願ったり叶ったりだ。漂流させるのも敵の前衛を混乱させる為だからね…敵は単座戦闘艇への対処と救助で、こちらへの攻撃どころじゃなくなる筈だ」
「中々意地が悪いな…了解だ」
20:10
自由惑星同盟軍、第一艦隊旗艦ヒューベリオン、第八十八独立空戦隊
サレ・アジズ・シェイクリ
「ヒューズ、どっちが多く敵を落とすか賭けようぜ」
「敵艦の機関部だけを狙うんじゃないのか」
「沈めてしまえば一緒さ。それに敵も黙っちゃいない、空戦隊を出して来るだろ?」
「それは…そうだ」
「そうなったら敵艦の機関部だけ…なんて話はふっとんじまう。敵は落としてナンボだぜ」
「まあ、いいか…だったら隊のみんなに報せよう。機関部を狙うチームと単座戦闘艇に対処するチームに分けようって。効率が上がる」
「そうだな、そうしよう…いいな、勝った方がコニャックを一本だぞ!」
「分かったよ」
帝国暦487年7月20日21:40
フォルゲン宙域、ヴァルトブルグ星系、銀河帝国、銀河帝国軍、ミューゼル艦隊旗艦ブリュンヒルト、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
「当艦隊だけでなくケスラー、メックリンガー両艦隊の前衛においても漂流艦艇が続出しています!おのれ…なんて汚い攻撃をしてくるんだ叛乱軍は」
確かにいやらしい…トゥルナイゼンの言う通り、汚くしかも効果的な戦法だ。ヤン・ウェンリー…やはりウィンチェスターと並んで称賛に値する敵ではないか…。
「仕方ない、此方も空戦隊を出せ。乱戦は覚悟の上だ。航行不能な艦の救助を急がせろ」
恐縮するルッツの姿が消えると、代わって映し出された映像通
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