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不可能男との約束
女の意地
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聖連もするべき事をさせてもらおうじゃないか」

「───重双血塗れ(ダブルブラッディ)メアリの処刑の歴史再現かね」

Tes.の頷きと共に、顔の向きを表示枠の方に向き直す。

「アルマダ海戦は一人の王族の処刑で始まる。聖譜によれば、元スコットランド女王にして、エリザベスの従妹であり、そしてエリザベスの暗殺未遂を犯したメアリ・スチュアートの処刑だ」

「そして、エリザベスの義母姉である先代メアリ。チューダーの二重襲名者……正しく、英国の不貞の証だろうな」

「結論を言ってやろうか? ───世の中はままならんだ」

「君にしては一般的な模範解答だな元生徒」

茶化すなよ、と苦笑付で返すが、表示枠を見ると、自然と表情は違うものに変わる。

「厄介だとは思わないか? 武蔵は喪失を認めようとしない馬鹿連中。英国は率先して、喪失をしようとする現実派。互いの了見は今のところ噛み合っていないし───特に武蔵総長と副長がどんなリアクションを取るか……楽しみだと思わないか、ガリレオ」

「武蔵の総長は解るが、副長もかね?」

ああ、と意図的に間を空け、会話に隙間を作る。
ほんの刹那の沈黙を楽しむように、味わいながら、しかし、直ぐにその沈黙を破る。

「ホライゾン・アリアダストが葵・トーリの後悔の形ならば、恐らく、メアリ・スチュアートの処刑は熱田・シュウの過去の象徴になるだろうよ。どう足掻いても、過去を思い出さずにはいられないだろうよ」

「ホライゾン・アリアダストも二人の過去の象徴ではないのかね?」

「自分で言ってるじゃないか。武蔵の姫は二人というよりは武蔵の、と言うべきだろう。これは熱田・シュウの過去の象徴だ」

そこまで、言って一際強烈な爆発音が表示枠から聞こえたから、そちらの方に再び視線を集中させた。

「今こそ疾走して駆け抜けよう、か……」

その言葉は剣神の信念であり、真実の言葉である。
だが

「それが、ただの強がりの言葉か、違うのかはこの英国を持って見抜くことが出来るんなら……見ものだと思わないか?」







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