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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
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日本特地派遣部隊は門周辺(アルヌスの丘)を占領して防御陣地の構築に追われていた。工兵隊ではとても足りないので、派遣部隊の兵士も防御陣地の構築に当たっていた。
「……ふぅ、流石に疲れたな」
中尉の階級を付けた尉官が手拭いで身体に吹き出ていた汗を拭き取る。
「摂津ぅ、水くれぇ」
そこへツルハシを持った大尉の階級を付けた佐官がやってきた。
「……伊丹大尉、一応は自分の上官なんですから部下の前でそんな情けない格好をするのは……」
「今は摂津しかいないから大丈夫だよ。それより水を……」
「はいはい」
摂津中尉は伊丹大尉に水筒を渡して伊丹大尉は水筒の水を飲む。
「海軍だと防御陣地は作らないのか?」
「作るには作りますがこんなには作りませんよ。それに木陰が無いから酷しいです」
摂津中尉は海軍陸戦隊から派遣されていた。特地派遣部隊には海軍陸戦隊も一個連隊(指揮官は太田実大佐で横須賀や舞鶴等の鎮守府の精鋭を集めた)も参加している。武器は全て九九式短小銃など陸軍と共通化していた。
後に海軍は陸戦隊が所有する九五式軽戦車も持ってくるのであった。
「摂津……敵は来ると思うか?」
「来るでしょうな。門を占領されたんやから必ず取り返しに来るでしょう」
若干関西弁が出たが伊丹大尉は気にしなかった。伊丹大尉は些細な事までは気にしない人柄であった。
「ま、此方は穴掘って敵が来るのを待つしかないだろ」
伊丹大尉は再びツルハシを持って作業を続けるのであった。
――帝国皇城――
「あえて言上致しますが、大失態でありましたな」
一人の男が皇帝の椅子に座るモルト・ソル・アウグスタスに言う。
「帝国総戦力六割の喪失ッ!! この未曾有の大損害をどう補うのか?」
古代ローマ人が着ていたような服を着ている男が皇帝に叫ぶ。
「陛下ッ!! 皇帝陛下はこの国をどのように導くおつもりかッ!!」
「……カーゼル侯爵、卿の心中は察するものである……」
漸くモルト皇帝が口を開いた。
「外国諸侯が一斉に反旗を翻すのではと恐怖に夜も眠れぬのであろうが、危機のたびに我等は一つとなり切り抜けてきたではないか。二百五十年前のアクテク戦役のように」
周りにいる議員達はモルト皇帝の言葉に傾ける。
「戦に百戦百勝はない。よって此度の責任は問わぬ。まさか敵が門前に現れるまで裁判ごっこに明け暮れる者はおらぬな?」
「ッ……」
カーゼル侯爵は何も言わない。
「だが敵の反撃から僅か二日ですぞッ!! 我が遠征軍は壊滅し「門」は奪われてしまったッ!!」
頭に包帯を巻いた議員が立ち上がる。
「パンパンパンッ!!
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