新生と復活
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中の紅茶を見て顔を少し明るくさせた。
「シナモンティーか。いいね、僕はこれが好きでね。いつも飲んでいるんだ」
「おや、そうだったのかい?学生時代はいつも酒ばかり飲んでいたじゃないか」
「それは君だろう。酒は百薬の長とかいつも言って」
「あれ、そうだったっけ」
志度博士の言葉に海堂博士はとぼけてみせた。
「よく言うよ。いつも三升は飲んでた癖に」
「ちょっと待てよ、いくらなんでもそんなに飲んでないぞ」
「・・・博士、昔からそんなに飲んでいたんですね」
ルミが厳しい顔をした。
「えっ、そ、それは・・・・・・」
ルミの言葉に博士はバツが悪そうな顔をした。
「そ、そうだちょっと学校のポストへ行ってくれないか?郵便があるかも知れないし」
咄嗟にはぐらかす。
「わかりました。けど博士、そんなに飲んだら駄目ですよ」
「・・・・・・はい」
博士は暗い顔をして頷いた。ルミはそれを見ると部屋を後にした。
「何だ、今でも飲んでいるのか」
志度博士は呆れたような顔で言った。
「・・・・・・ああ。幸い身体は壊してはいないしね」
それに対して海堂博士の表情は実に渋い。それも当然であるが。
「それにしても厳しい娘だな」
「ああ。生憎そういうところは父親に似なかったみたいだ」
「父親・・・・・・。一条君か」
志度博士の表情が変わった。懐かしさをいとおしむ気持ちと無念さを噛み締める気持ちが複雑に混ざり合った表情である。
「死んだと聞いたが。だから君が養子にとった」
「・・・・・・ああ、殺されたよ。バダンにね」
海堂博士はそう言うと俯き視線を下へ落とした。
「・・・・・・バダンか。やはりね」
「警察の捜査では強盗殺人ということになったが。間違い無い」
「ルミちゃんはその事を知っているのかい?」
「いや、彼女にはその事を伝えていない。本当の事を言っても信じられんだろうからな」
「だろうな。私も君からゲドンの話を聞いた時は信じられなかったからな」
志度博士も顔を暗くさせた。
「だが自分自身がネオショッカーに拉致され無理矢理協力させられてはじめてそれが解かった。この世界の裏で蠢き世を闇で覆おうとしている者達がいることにな」
「おそらくバダンは一条君に協力を要請したのだろう。だが彼はそれを断った」
「だろうな。彼はそんな事に首を振る奴じゃなかった。そして・・・・・・」
「消された。自分達の存在を知った者として」
二人は更に表情を暗くさせた。
「だからこそ彼等には戦って欲しい。これ以上私達やルミちゃんみたいな人間を出さない為にも」
海堂博士は顔を上げた。そして表情を毅然としたものにし力強く言った。
「うむ。その為に彼等を改造したのだしな」
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