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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
天空の覇王
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儀式に隠されているものがある。聖餅をキリストの身体として、葡萄酒をキリストの血として食べ、飲む。
これはすなわち人の肉と血を食する事である。
 人肉食は中国の話かというとそうではない。欧州にも古くからある。
 古代ギリシアでは酒の神ディオニュソスの信者達は踊り狂い狂騒状態になると人を喰らったという。神話には自分の息子を引き裂き食い殺した母親の話がある。
 ギリシアだけかというとそうではない。欧州は寒冷で食料に乏しく飢饉が多発した。その為飢えを凌ぐ為人を食っていたのだ。これは童話等に隠され語り継がれている。
 また人の血を強壮剤と考えていた人々もいた。中国の作家魯迅は自身の小説『薬』に人の血を付けた饅頭を出している。
これと殆ど、いや全く同じ話がフランスにある。革命前の貴族達は夜毎宴を開いていた。朝になると貴族達はある場所へ馬車を走らせた。行く先は処刑場である。
 処刑は朝行われる。血が流れる。ドクターケイトの祖先もそこから生まれた。その死刑囚の血を貴族達は銀の杯に入れ飲んだのである。疲れを取る為だ。当時血は強壮の基と考えられていたのである。吸血鬼の話もあながち嘘とは思えないのである。こうして実際に人の血を飲む人々がいたのだから。
 枢機卿が触れたのはこうした人の血を好む一派だった。当初は邪悪な異端者として徹底的の弾圧していた彼だが次第にその教えである人の血へ興味を持つようになった。丁度人が紅い葡萄酒を好むように。その欲望は次第に高まり抑えられなくなっていた。
 ある日彼は一人の異端者を殺した。ナイフで首を掻き切ったのだ。倒れたその死骸へ近付いた。そして傷口に口を当て血を啜った。身体中に信じ難い力がみなぎってくるようだった。
 それ以降彼は人を殺しその血を吸うようになった。初めはナイフや斧で殺していたがすぐにその首へ直接噛み付くようになった。彼の歯は次第に狼の様になっていった。
 そうした彼を部下達は恐れるようになった。遂に部下の一人がそれを時の法皇に密告した。
 その話は法皇を震え上がらせるのに充分であった。彼はすぐに動き枢機卿を捕らえた。処刑しようと考えたが彼の才とこれまでの功績を惜しみ地中海の断崖にそびえ立つ古城に幽閉した。そこで枯死させるつもりだった。かってハンガリーに君臨した血塗れの伯爵夫人エリザベート=バートリーと同じ方法を取ったのである。
 しかし彼はすぐに脱出した。既に人でなくなっていた彼は空を飛び脱出した。そして遠くチベットまで逃れたのだ。
 チベットで彼は新たな宗教を開いた。その名を卍教という。異端のカニバリズムとチベットの呪術を組み合わせた独自の邪教であった。
 そこで彼はこの地を陰から脅かし続けた。権力者達が弾圧しようとすればその権力者は身体に血が一滴も残っていない干乾びた屍となって発見された。誰も彼等を抑
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