第二章
[8]前話
「お握りよね」
「それうちだけじゃないんだね」
「貴方のお母さんのお家にお邪魔したら」
その時はというのだ。
「いつも出してくれるけれど」
「お母さんお握り作ってくれるからね、お父さんと三人で」
今は髪の毛が白くなった両親のことを思い出しつつ応えた。
「いつも食べてたよ」
「お家ではね、けれどそれはね」
シータはさらに話した。
「日本全体でよ、コンビニでもスーパーでも絶対にあるわね」
「お握りはね」
「それでね」
そうであってというのだ。
「災害の時もね」
「お握り出るね」
「お弁当でもあって」
「うちはお弁当はいつもそうだったよ」
「兎に角何かあったら」
その時はというのだ。
「お握りよね」
「じゃあ日本全体がお母さんのお握りかな」
「そうなるわね、同じお米が主食の国でも」
それでもというのだ。
「タイと日本だとね」
「そこが違うんだね」
「タイだとね」
自分の国だと、とだ。シータは話した。
「カレーかね」
「炒飯かな」
「そうなるわ、本当にね」
そこはというのだ。
「違うわ」
「日本はお母さんのお握りの国なんだね」
「ええ、そしてそのお握りがね」
シータは景朋に笑顔で話した。
「私もね」
「好きなんだ」
「日本に長くいてね、それじゃあ」
「今度一緒にお握り食べようか」
「二人で握る?それか景朋の実家でか買うか」
「二人で握ろう」
景朋は笑顔で提案した。
「そうしよう、来月籍入れるし」
「結婚するから」
「子供が生まれたらそのお握りを一緒に食べるし」
「それならね」
「そうしよう」
「それじゃあね」
シータは笑顔のまま頷いた、そしてだった。
その時は二人で握って食べた、そのお握りもまた美味しく母親の味がした。
お母さんのお握り 完
2025・2・23
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