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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第3章 高校3年生
夏休み、ワーカーホリック
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でよ」って言ってくれたんです。つまり、埼玉の彼女の実家に、ってこと。この夏のわたしはハッキリ言ってワーカーホリック、つまり働きすぎだから、ウチで息抜きしなよ、って。
わたし、行っちゃダメですか? まだ自分の意思で決めちゃダメなの? ううん、そんなことないはず! めいっぱい働いたし、残りの夏休みくらいはさやかちゃんといっぱい遊びたい。で、ぶっちゃけ純也さんとの約束をドタキャンしてやりたいんです。
わたしはあなたの思い通りになんか動かないんだって、彼に思い知らせてやらないと。おじさまも同じです。
とにかく、わたしはバイトが終わり次第埼玉へGo!! かしこ
八月十日 ワーカーホリック愛美』
****
――それから十日ほど後。無事に愛美の家庭教師のアルバイトは終了した。
「愛美先生、一ヶ月間お疲れさま。これ、謝礼ね」
「わぁ……、ありがとうございます!」
秦野夫人からバイト代の封筒を受け取った愛美は、失礼だとは思いつつ中身を確認した。
「……はい、確かに十万円受け取りました。でも、ホントにいいんですか? こんなに頂いちゃって。わたし、この半分でも充分ですけど」
「いいのよ。娘二人を勉強する気にさせてくれたあなたには、本当に感謝してるんだから。大変だったでしょう? だからこちらとしては、もっと増やしてあげたいくらいよ」
「そんな! わたしは十万円でも多いくらいです。一ヶ月間、お世話になりました。麻利絵ちゃんに、希望の高校に合格できるといいねって伝えて下さい。それじゃ、失礼します」
――こうして、愛美は葉山の秦野邸を後にして、さいたま市の牧村家へ向かうのだった。
* * * *
――それから四日後。愛美はあしながおじさん∴カてにハガキを出した。
幸い、久留島さんからは手紙も来なかったし、電話がかかってくることもなかったので、さやかの実家でのびのびと夏休みらしい日々を過ごすことができたけれど。
愛美にはひとつ、心に引っかかりが残っている。それは、まだケンカ中だった純也さんとの関係を修復できないでいること。千藤農園へ行くことになっていたら、そこで彼に会えて仲直りができたかもしれないけれど。そうしなかったので、仲直りのタイミングをうまく掴めずにいたのだ。
(わたしも大人げなかったのかな……。いつまでも意固地になってちゃ、いつまで経っても仲直りなんてできないよね)
彼は大事な人なのに……。愛美のことを本気で好きだと言ってくれた人なのに。
(だったら、わたしから歩み寄らなきゃ! おじさまに……あの人に手紙を出そう)
そう決意して、
認
(
したた
)
めた手紙だった。
****
『拝啓、おじさま。
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