暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第3章 高校3年生
夏休み、ワーカーホリック
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、愛美は自分の今の仕事に向き直った。


   * * * *


 ――バイトの時間は午前中だけで、昼食後は自由時間となる。

 愛美は自分の部屋で、姉妹の生徒たちに出した課題の添削をしていた。

「……う〜ん、二人共通の課題は読解力不足かな」

 麻利絵と香菜、二人はどうして勉強ができないのか。どうすれば成績が上がるのか。その原因を探っていたのだけれど、何となく分かった気がする。
 麻利絵も香菜も、基本的に問題を読み解く力が弱い。だから理解が追いつかないのだ。
 では、どうしたら読解力が身につくのか――?

「本を読むのがいちばんのトレーニングになるんだけど。あの二人、本なんか読まなそうだしなぁ……」

 二人ともいわゆるギャル系で、オシャレやメイクなど自分の興味のあることには熱心だけれど、本は雑誌くらいしか読んでいるところを見たことがない。勉強中の休憩時間には、スマホを見ていることがほとんどだ。

「せめて電子書籍でもいいんだけど、本はやっぱり紙書籍を読んでほしいなぁ」 

 紙の本のページをめくる動作だけで、脳は活性化されるらしい。この際、コミック本でもいいから勧めてみるべきだろうか?
 ――と考えに耽っていると、部屋のドアがノックされた。

「――愛美先生、外いい天気だし、散歩行かない?」

 ドアを開けると廊下に麻利絵と香菜の美少女姉妹が立っていて、愛美を散歩に誘いに来たらしい。

「うん、行こう。この近くのカフェで、二人にクリームソーダごちそうしてあげるよ」

「やったー! お姉ちゃん、愛美先生誘ってよかったね」

「うん!」

 というわけで、愛美は二人の生徒を引き連れて、秦野邸の近くにあるカフェで課外授業をすることにした。


   * * * *


「「――いただきま〜す♪」」

 麻利絵と香菜の姉妹がクリームソーダを美味しそうに食べ始めるのを、愛美はいちごタルトセットのアイスティーを飲みながら眺めていたけれど。先生の顔になって課外授業を始めた。

「麻利絵ちゃん、香菜ちゃん。食べながらでいいから聞いて。――わたし、二人の課題に目を通して分かったんだけど、二人に共通して足りないのはズバリ、読解力だと思うの」

「読解力?」

「そう。問題を読み解く力。二人にはそれが欠けてるの。そこでわたしから質問なんだけど、二人って本を読むの苦手でしょ?」

 姉妹は顔を見合わせた後、同時にコクンと頷いた。

「あたしは雑誌くらいしか読まないし、香菜も本読んでるところ見たことないよ」

「うん。スマホ弄ってることの方が多いよね」

「やっぱりね。そこで、愛美先生から一つ、二人に宿題を出します。この夏休みの間に一人一冊、何か本を読むこと。ただ
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