暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第242話:風鳴の家系は化け物か
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る広い和室の奥に訃堂が静かに正座している。彼は襖が開かれ、スタッフが拳銃を向けると、その気配を察したのか目を開き老人とは思えぬ気迫を持つ威圧感でスタッフたちを威嚇した。

「うっ!?」
「お……!?」

 S.O.N.G.のスタッフとて決して素人ではない。訓練も受けているし、危険に対しても覚悟は出来ている。にも拘らず、彼らは訃堂の睨んでくる視線それだけで気圧され体の芯が冷える様な感覚を味わった。空気が重くなったかのように動けなくなり、呼吸が苦しくなって冷や汗が噴き出す。

 そんな彼らの肩に、弦十郎は手を置いて下がらせると自分が前に出た。その隣にはハーメルケインを勝手に持った輝彦の姿もある。2人が部屋に入ると、訃堂は威圧感を膨らませながら立ち上がった。

「国連の狗となり下がった親不孝者め……何のつもりでまろび出た?」
「無論……アンタを止める為だッ!」

 弦十郎の答えに、訃堂は手にした刀が収まった鞘を強く握りしめる。その様子には隠し切れない怒りが見て取れたが、不意に輝彦は違和感を覚えた。と言うのも、その怒りの矛先が弦十郎ではなく自分に向いているように感じたからである。

「愚かな……だが真の愚か者は貴様だこの親不孝者ッ!」
「何? 私か?」

 どうやら違和感は気の所為ではなく、訃堂は己を裏切った弦十郎と八紘以上に何故か輝彦に対して怒りを抱いているらしい。その理由が分からず、輝彦はこんな状況であるにもかかわらずキョトンとしてしまった。それが更に訃堂の怒りの炎に油を注いだのか、彼は手にした刀を鞘から引き抜き2人に向けて飛び掛かって来た。

「かぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「ッ! させるかッ!」
〈バリヤー、ナーウ〉

 輝彦は咄嗟に障壁を張り、訃堂の刀の一撃を防いだ。硬い音を立てて、障壁の表面に弾かれる刃。しかし何と、訃堂は弾き飛ばされるどころか逆に刃を押し込み純粋な膂力で輝彦の張った障壁に罅を入れてきたのである。

「何ぃッ!?」

 確かに変身していない状態では魔法の効果もたかが知れている。だがそれでも生身の人間を相手にするだけであればこの世のどんな技術でも抗えない効果を持っていた。魔法の障壁に至っては、変身していなくても戦車砲の一撃程度までなら防げる防御力がある筈だった。
 それに訃堂は人力で罅を入れてきたのだ。否、罅だけでは済まされない。このままだと確実に障壁が切り裂かれてしまう。

 そうはさせじと弦十郎が横に回り込み、刀を振り下ろした姿勢で刃を押し込もうとしている訃堂に殴り掛かった。

「おぉぉっ!」
「ヌンッ!」

 弦十郎が殴り掛かって来たのを見て、訃堂は輝彦への攻撃を止めるとそちらへの対処を優先させた。拳と刀が交錯し、互いの攻撃を互いに弾き合い衝撃が外に繋がる障子を吹き飛ばす
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