第九幕その五
[8]前話 [2]次話
「カステラも食べるのは一切れとかだったんだ」
「少ないね」
「当時は高級品でも」
「それはまた」
「そうだよ、兎角質素な方で」
そうであられてというのです。
「おやつがあっても少しで他のこともね」
「質素だったんだ」
「明治帝は」
「今の皇室もそうだけれど」
「昭和帝だってね」
「着られる服は軍服だけで」
先生はさらにお話しました。
「裏が破れても縫って」
「それで着られたんだ」
「着替えるんじゃなくて」
「捨てないで」
「縫えばまだ着られるから」
それでというのです。
「暖房も火鉢一つで」
「どんなに寒くても」
「それだけだったんだ」
「真冬でも」
「そうであられて」
そしてというのです。
「皇居もね」
「そうそう、質素だよね」
「観たらね」
「ベルサイユ宮殿みたいなのじゃなくて」
「とてもね」
「そうした方であられて」
明治帝はというのです。
「カステラもね」
「一切れだね」
「召し上がられても」
「そうだったんだね」
「そのことをね」
まさにというのでした。
「覚えておかないとね」
「駄目だね」
「そうだね」
「立派な方だったね」
「あの方は」
「そうだよ、その辺りの独裁者とは違うよ」
全くというのです。
「皇室自体がね」
「日本の皇室を批判する人はいても」
「それが真実だね」
「皇室は質素であられて」
「色々節制しておられるね」
「そうなんだ、僕には無理だよ」
先生は笑って言いました。
「あそこまでの節制はね」
「カステラ一切れだけなんて」
「おやつの時にね」
「こうしてティーセットでもないだろうし」
「それならね」
「そう、ティーセットがないなんて」
それこそというのです。
「僕には無理だよ」
「先生にとって絶対だからね」
「ティータイムは」
「三時にお茶を飲むことは」
「ティーセットと一緒にね」
「もっと言えば十時にね」
この時間にもというのです。
「軽くね」
「そうそう、お茶を飲む」
「その時講義でならその前か後にね」
「紅茶を飲む」
「お菓子も軽くつまんで」
「そうすることがね」
ティータイムがというのです。
「僕の日課でね」
「楽しみだね」
「そのうちの一つだよね」
「先生にとっては」
「昔は煙草もだったね」
笑顔でこうも言いました。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ