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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第3章 高校3年生
本当の自立に向けて
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る。それでも賛成できない?」
「ああ、賛成できないね。どうして素直に甘えられないのかな、君は。今度の船旅だって、田中さんがいつも頑張ってる君に息抜きをさせてあげたくて提案したはずだ。その厚意も無下にするのか? 自立自立って、ただ意固地になってるだけじゃないか。自立心の強すぎる頑固なガキは始末に負えないよ」
「ガキで悪ぅございましたねえ! だいたい、意固地なのはどっちよ? 自分の彼女が自立したいって言ってるのに、それがいけないことなの!? 一体、それの何が気に入らないの!?」
愛美だって、大好きな純也さんにこんなことを言いたくはなかったけれど、もう売り言葉に買い言葉だ。
「…………あ〜もう! 分かったよ! 勝手にしろよ! 俺はもう知らない!」
「ええ、ええ、勝手にしますっ! もう話終わったならさっさと帰れば!? 自分の分くらい、自分で払うから!」
「分かったよ、帰るよ!」
純也さんは自分の伝票だけを引ったくって席を立っていく。残った愛美は、ケーキと紅茶をせっせと平らげ始めたけれど――。
「まさかジュディとジャービスみたいに、わたしまで純也さんとケンカになるとは思わなかったな……」
紅茶を飲んで、盛大なため良きをついた。
****
『――と、ここまで書いた時に純也さんから『会って話したい』ってメッセージが来て、いつかのカフェで会うことになりました。
純也さんもわたしのバイトには賛成できないって。で、おじさまがわたしに勧めてくれたクルーズ船に自分も乗るから一緒に旅行しようって言われました。
でも、わたしは断りました。バイトの方が大事だし、引き受けたものは断れないから、って。早く自立したいから、この夏のバイトはそのための第一歩なんだとも言いました。
そしたら彼、何て言ったと思う? 「どうして素直に甘えられないんだ」って。おじさまはいつも頑張ってるわたしに息抜きをさせたいから船旅を提案してくれたのに、その厚意も無下にするのか、って。最後には、自立心の強すぎる頑固なガキは手に負えないって!
わたしも売り言葉に買い言葉で、「自分の彼女が自立したいって言ってることの何が気に入らないの!?」って言い返してやりました。だって、言われっぱなしじゃムカつくんだもん! そしたら彼、「もう勝手にしろ。俺はもう知らない」って怒って帰っちゃいました。
というわけで、わたしも勝手にします。夏休み前にさっさと荷造りを済ませて、終業式が終わったら葉山に行っちゃいますから。葉山への行き方はさやかちゃんに教えてもらうし、分からなくなったらネットで調べます。
おじさまのご厚意を無下にしたことは申し訳ないと思ってます。でも、純也さんのことは許せない。しばらくはメッセージも既読スルーしてやるんだから!
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