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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第3章 高校3年生
本当の自立に向けて
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やをガブリと半分ほど飲んだ愛美は、自分から本題に切り込む。
「おいおい、つれないなぁ。せっかく彼氏が会いに来たっていうのに」
「わざわざそんな世間話をしに、横浜まで来たわけじゃないでしょ? ――もしかして、わたしが夏休みにバイトすることと関係ある?」
愛美はあえて、家庭教師のバイトの話を純也さんには伝えていなかったのだけれど。カマをかけてみると、彼がビクッとなった。
「あ……、ああ。田中さんから聞いた。でも、彼は賛成してないみたいでね、愛美ちゃんにクルーズ船のツアーへの参加を勧めたって言ってたけど」
(よく言うよ、白々しい! 『一緒に旅行したい』ってハッキリ言えないの? この人は)
愛美は内心そう毒づいたけれど、口に出しては言わずに別のことを言った。
「うん。今日、秘書の人からこのチケットとパンフレットが送られてきたの。でも、わたしは船旅には行かないよ。もうバイトは引き受けた後だから、今さら断れないもん」
「俺もそのクルーズ船に乗る、って言っても?」
「……何それ? それで引き留めてるつもり? 純也さんもバイトには反対なんだね」
純也さんも≠ニ言ったのは、彼があくまで「田中さんと自分は別人」というスタンスで来たからで、愛美もここはあえてそれに乗っかることにしたのだ。
「ハッキリ反対とは言えないけど、俺も賛成はできないかな。君は自分を追い込みすぎてるように俺には見える。作家の仕事だってあるのに、どうしてバイトまでしなきゃならないんだ? お金に困ってるわけじゃないだろ」
「別に、今回のことはお金が欲しくてやるって決めたわけじゃないよ。わたしを必要としてる人がいるから、それに応えたいって思うだけ。それに、ちゃんと作家業だって並行してやるし、それなら問題ないでしょ?」
「それにしたって、俺は心配なんだよ。せめて一言相談してくれてたら、俺だって賛成してたよ。……正直、一緒に船旅を楽しみたかったのもあるけど。……確かに、十八歳は法律上は成人だ。選挙権もあるし、クレジットカードだって申請できる。けど、バイトをするにはやっぱり保護者にひとこと相談すべきだと――あ」
(純也さん、今、ボロが出たことに気づいたな)
彼が一瞬「しまった!」と顔をしかめたのを、愛美は見逃さなかった。
ちょうどいいタイミングでケーキと紅茶が運ばれてきたので、愛美はチョコレートケーキと紅茶を一口ずつ味わってから再び口を開いた。ちなみに、伝票は純也さんの分と別になっている。
「純也さんはわたしの保護者じゃないよね。――それはともかく、わたし、来年はもう大学生になるの。だから、早く自立したい。純也さんに釣り合うような、自立した女性になりたいの。今度のバイトはそのための第一歩でもあるってわたしは思って
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