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Fate/WizarDragonknight

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体を無理矢理怪物にされただけの存在になってしまった。
 ハルトは、鼓膜を通じて体内に流れてくるその叫びに、ただひたすらに呆然としていることしかできなかった。
 だが。

「随分と騒がしいじゃないか」

 その声が、途端にハルトの意識を現実に引き戻した。
 声の発生源は、自分から聞こえたように思える。それは、懐。しまい直したパピヨンのマスクから発せられていた。

「パピヨン……!?」
「ふん!」

 パピヨンのマスクは、ひらりと跳びあがり、地面に落下。
 否、この場合は着地と表現した方が正しいかもしれない。マスクを中心に、周囲のアスファルトが徐々に銀色のメダルに作り変えられていく。メダルは触れた部分をさらにメダルに変えていき、やがて人の形の山になっていく。
 そして、メダルの塊は動き出す。横から縦へと変わり、あたかも人間と同じように動き、色が付いて行き。

「復☆活?」

 やがて、生成された姿は、パピヨン以外の何者でもなかった。

「パピヨン……」
「……」

 パピヨンは、自らの体を一度見下ろす。額と顎に手を当てながらハルトとコウスケ、えりかとフロストノヴァ、そしてアナザービーストへ視線を泳がせる。

「……」

 少しの間、彼は目を丸くしていた。やがて首を振り、地下室だった窪地を見下ろし、鼻で笑った。

「おいおい、親父はこんなところで死んだのか?」
「親父って……」
「ボンドルドだ。ここでは、教授と言った方がいいのかな?」

 パピヨンはマスクに手を当て、肩を震わせた。

「我ながら悪運が強い。ウィザード。俺は君に破れる時、賢者の石をこのマスクに写した。あの時の肉体は滅びたが、このマスクだけが生き残った。そのおかげで、どうやら命拾いしたようだ」

 パピヨンは右手を握ったり開いたりして、動かしてみる。すると、彼の掌からは、ポロポロとメダルが零れ落ちていった。

「どうやら俺は、このマスクに写した賢者の石を破壊されない限りは死なないようだ。人間からはかけ離れた怪物だが、当面の死の心配はなさそうだ。だが……」

 数秒間、パピヨンは固まる。やがてアナザービーストを見上げ、咳払いをした。

「んん……話は大よそ聞いていた。あの監督役が、我が愛しの父を殺し、あの化け物を作ったのだと」

 パピヨンは「愛し」の部分に少しだけ語気を強めながら吐き捨てた。

「で? お前は我が妹の死を直面し、何も出来ないと」
「……お前には関係ないだろ」

 目を反らすハルトに満足したのか、パピヨンは改めてフロストノヴァに目を向けた。

「よう。フロストノヴァ。戦いはどうした?」
「……私は負けた。もう、聖杯戦争に参加する気はない」
「へえ。いい子ちゃんだねえ」

 パピ
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