罰
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す。
変身解除したコウスケもまた、生身でハルトたちのところまで転がされてしまう。
さらに、白い魔法使いは全く感情を見せない動きで、懐から何か黒い物を取りだした。
「あれは……!」
それを目にした途端、ハルトの目に光が戻る。
その黒いものには、これまで二度、苦しめられてきた。
一度目は、ウィザードの力を奪い、アナザーウィザードとして。
二度目は、ヤマタノオロチの力を得たグレムリンとして。
白い魔法使いが、その黒い時計のスイッチを入れる。
すると。
「うっ……ぐあああああああああ!」
ビーストが呻き声を上げる。
彼の全身から、黄色の粒子が溶け出していく。それは監督役の黒い時計に集約されていき、やがて黒い時計が、真に産声を上げる。
『ビースト』
「完成……」
白い魔法使いは、変化していく時計を見て頷いた。
やがて研究室の残骸を見下ろす白い魔法使いは、鼻を鳴らした。
「さて。そこのキメラは、賢者の石で造られた命。アナザーライダーになって、無事にいられるわけがないか」
『ビースト』
白い魔法使いは、黒い時計のスイッチを押した。
ガイダンスボイスが流れ、白い魔法使いは時計を放る。
掴もうとしたハルトとえりかの手を、あたかも生き物のように掻い潜り、黒い時計は白い獣の体内に埋め込まれていく。
「な……っ!?」
「結梨ちゃん!」
『ビースト』
三度鳴らされる起動音。
白いキメラは、自らの体に何が起こっているのかを理解できていないのだろう。体の内側からあふれ出てくる黒いオーラが魔法陣を形作り、キメラを包んでいく。
「お兄ちゃん……お姉ちゃん……」
その声は、全く変わりない。
結梨のままだが、それがキメラから発せられているという異常に、頭が最後まで受け入れられなかった。
そうしている間に、黒い魔法陣がキメラを作り変えていく。体が巨大化し、白い体は薄汚れた金色に染まっていく。
「な、何やってるんだよハルト……! えりかも!」
呆然としていたハルト。コウスケがえりかとともにその場から地上へ移動させられなければ、巨体となった結梨に圧し潰されていたかもしれない。
地下室だった空間を埋め尽くす、獣の怪物。ライオンの頭に、左右にはハヤブサとイルカ、頭の下には逆さについた猛牛。そして尾にはカメレオン。
まさに、ビーストの特徴そのものだったが、本物の獣が、ビーストの力を再現するためだけに縫合されたようだった。
「おい、今度はオレの偽物かよ……」
「そうだね。アナザービーストだ」
コウスケと白い魔法使いの会話も、ハルトには遠くに聞こえた。
「結梨ちゃんは……結梨ちゃんは……!」
「倒されれば、人間ならば問題
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