暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
大事な人とのバレンタインデー A
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!!』


「……あらあら、これは――」

「ね? これってさ、珠莉がウチのお兄ちゃんに脈アリってことじゃんね?」

 このやり取りを見る限り、治樹さんも少なからず珠莉のことを好ましく思っているようだ。二人がカップルになるのも時間の問題かもしれない。

「お……っ、お二人とも! 私をネタにして遊ばないで下さる!?」

「えー? いいじゃん。あたしたちはアンタの恋を応援してるだけなんだしさ。ね、愛美?」

 勝手に自分の話題で盛り上がっている親友二人に、珠莉が吠えた。でも、さやかも愛美も少しも動じない。

「うん。純也さんも背中押してくれると思うよ。珠莉ちゃん、まだ治樹さんにハッキリ気持ち伝えてないでしょ? 来月はバレンタインデーもあることだし、わたしとさやかちゃんと三人で手作りチョコ、頑張ってやってみない?」

「あ、それいい! 当然、愛美も純也さんにあげるつもりなんだよね?」

「もちろん! あとね、もう一つプレゼントも用意しようと思って。わたし、去年はインフルエンザで倒れてそれどころじゃなかったから」

「あー、そういえばそうだったね。寮母の晴美さん、毎年寮生にチョコ配ってるらしくてさ。あたしと珠莉も去年もらったんだけど、愛美の分は『食欲ないだろうから』って断ったんだよね」

「えー、そうだったの? 惜しいことしたなぁ。熱さえ出さなきゃもらえたのに」

 あの時、「あしながおじさん≠ノ見限られたかもしれない」とネガティブになっていたことも、お見舞いに届いたフラワーボックスと手書きのメッセージに大泣きしたことも、今となっては思い出だ。

(あの頃はまだ、純也さんがおじさまだって知らなかったもんなぁ。今考えたら、あの人がわたしを見限るなんてあり得ないのに。だって彼、わたしにベタ惚れしてるんだもん)

 純也さんのことを考えていて、思い出した。

「あ、そういえば純也さん、バレンタインデーにまたここに遊びに来るって言ってたよ」

「えっ、マジ? わざわざ愛美からチョコもらうために来るワケ?」

「うん、それもあるけどね。なんか、わたしたち三人にチョコをくれるつもりみたい」

「え、やった♪ 純也さん、マジいい人!」

 チョコと聞いて、やっぱり大のチョコ好きのさやかは大喜びした。

「さやかちゃんのチョコ好きは本物だね。わたしと純也さんが予想した通りの反応してくれるんだもん」

「だって、あの人がここに来たら毎回チョコ系のスイーツ食べられるじゃん。もう、チョコ大好きなあたしにとってはもはや神だね」

「神……」

「あ、でも愛美から横取りしようなんて思わないから安心してね。あたしにとって純也さんは、親友のステキな歳上の彼氏で、もう一人の親友の叔父さんでしかないから。
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