暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
大事な人とのバレンタインデー @
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てたからなぁ。今はだいぶ彼女≠轤オくなってきたっていうか、彼女ってことに慣れてきたから)

 純也さんと二人きりで過ごすことにもあまり抵抗がなくなってきたのは、彼のことをちゃんと信用できるようになったからだと思う。

「ちゃんと部屋は暖房つけて暖かくしておくし、あったかい飲み物も用意しとく。夜はもっと寒くなりそうだから。せっかくの年末の風物詩だし、ひとりで観るのは淋しいからさ」

「うん、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな」


 今年の年越しは、大好きな純也さんと二人で迎えることになった。こんなに嬉しくてドキドキするようなことを、一年前はどうやって想像できただろう!


   * * * *


 その日の夕食後――これもごく普段通りのメニューだった――、愛美は自分の部屋で入浴を済ませてから紅白歌合戦が始まるまでの時間、原稿の執筆に(いそ)しんでいた。

 そこへ、担当編集者の岡部さんからスマホにメールが届いて……。


『相川先生、執筆は進んでますか?
 プロット拝見しました。大変面白そうな内容になりそうで楽しみですが、可能であればそこにヒーローのロマンス要素も盛り込んで頂けると……。
 無理にとは言いませんが、検討のほどよろしくお願いします。』


「――ロマンス要素……っていうと、相手はわたし……ってわけにはいかないよなぁ」

 読んだ愛美はう〜んと唸った。
 現実で、主人公のモデルとなっている純也さんの恋人は愛美だけれど。それをそっくりそのまま小説の中でまでやるわけにもいかない。自分たちは好き同士で交際しているから年齢差なんて気にしてはいないけれど、さすがに世間的にはどう見られるのか分かったものじゃないから。
 でも、ヒロインの年齢だけ引き上げて、設定はそのままそこに落とし込めば……。
 たとえば、純也さんが愛美のことを好きになってくれた理由――家柄やステータスなんて関係なく、彼という人柄を好きになったということ自体は使えそうな設定ではある。

「……うん、よし。これでいこう!」

 愛美はすぐ、「ロマンス要素は盛り込む方向で進めていきます」とメールの返信をして、またキーボードを叩き始めた。
 そして七時十五分ごろ、キリのいいところまで書けた時点で原稿ファイルを保存してパソコンを閉じ、スマホを持って純也さんの部屋へ行った。服装は部屋に戻ってきたらすぐに寝られるようパジャマ姿で、上からカーディガンを羽織っている。

「――純也さん、愛美です。入ってもいい?」

「どうぞ。ちょうどいいタイミングで来たね。もうすぐ始まるよ」

「おジャマしまーす」

 純也さんの部屋に入るのはクリスマスイブの夕方以来である。あの時は珠莉も一緒だったし、彼女の相談事がメイ
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