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外道戦記ワーストSEED
十一話 崩れ行く世界の中で
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に貰ったバーボンを呷る。

まあ、宇宙港守って民衆には火種が飛ばないと思っていたら、ニュートロンジャマーによる大量の死者の発生だ。政治的舵取りする側としては泣きたくはなるだろう。

「世界樹の自爆戦術で男手を失った家庭。ニュートロンジャマーのせいで病気の継続的な治療が困難になり、家族が亡くなった事例。まあ、叩く対象として狙われる苦労はわかっているつもりだ。だからメディアの前で、緊急時の対応として一夫多妻を許す人口増加のための緩和政策にも賛同しただろ」

さて、ここで残酷な事実を言おう。

コーディネーターという種は、遺伝子を弄りすぎて子供が出来にくい、という欠陥はあれど、ほとんど全て共通してとある『長所』が存在する。

それは、顔を含め身体全体的なデザインが良い。という点だ。

それだけと侮るなかれ。

他の条件が同じで美醜だけが異なっていたら、男女関係なく容姿の整った方にいくように、残酷なようだが、容姿の整っているというのは大きなファクターなのだ。

「言い出した大統領が男性だから当初叩かれはしたがね。自分の稼ぎに応じてだが、ナチュラルであれば男女関わらず結婚相手を複数持つことを許可する、相手は一人でもナチュラルを含めればコーディネーターを選んでも構わないという法案は人口増加と経済を回す上で悪いことじゃない。……残酷なようだが、多少無理をしてでも、誰かの家庭に入っておけば、最近流行りの『コーディネーター狩り』からも逃れられるからね」

そもそもマンハントが合法な国なんてない。コーディネーター狩りはあくまで経済的、精神的ストレスを抱えた『善意の市民』を騙る差別主義者が勝手にやっていることであり、このように国のトップが明確に国の指針としてコーディネーターの迫害を禁じれば、彼らに大義名分なんざないのだ。

「話は終わりか?ならそろそろ御暇したいんだが。これでも多忙でね。大統領自身も主張しているように『オフには家族を優先したい』」

その瞬間、大統領は直立すると同時に頭を下げた。

「お願いします!わしの孫を助けるために、嫁を増やして頂けませんか!」

「……は?」

横でミオリネの、聞いたことのない憤怒の声が聞こえた。

詳細を聞くと、こういうことらしい。

まあ、当然の話、コーディネーターを保護するというのは自国の治安維持でやってるわけで、無制限にコーディネーターを受け入れる訳では無い。

だから、他国で暮らしているコーディネーターがその恩恵に預かるためには、厳しい審査と、婚姻等により連邦市民になる手続き、つまりは結婚する必要がある。

そして今、両親をテロで失い、難民になった孫を連邦に迎え入れるため、絶対に安心できる相手として自分に白羽の矢が立ったと。

うん……やめてもろて。


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