暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第240話:傲慢の芽を摘んで
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高いかもね」
「透……」
それほどまでに思われている事に対し、クリスは嬉しく思うと同時に何処か危うさを感じて不安になる。
その不安を現したかのように、突如すぐ傍の部屋から大きな破裂音の様な物が響いた。基本防音性の高い本部内部で、廊下にまで音が響くと言うのは相当な事である。
「な、何だッ!?」
「敵襲ッ!?」
「いや、ここ……シミュレーションルームだ……」
音の発生源は訓練などでよく利用するシミュレーションルームであった。一体何が中で行われているのかと、奏達は顔を見合わせると意を決して中へと入る。
すると中では、今し方の音の原因だろう爆発による砂埃の中で、その場に膝をつくグロウ=メイジに変身した透と彼の前に佇む変身した輝彦の姿があった。場所が場所だから訓練していたのだろうが、それにしたって透の姿がボロボロな事にクリスは思わず中に飛び込み透の傍へと駆け寄った。
「透ッ! お前、何やって……」
「ク、クリス……はぁ、はぁ……いいんだ。僕が頼んだ事だから……はぁ、はぁ……」
「どういう事だ、義父さん?」
クリスを押し退ける様に立ち上がろうとする透の姿に、奏が輝彦に問い掛ける。すると彼は変身を解き、コートの襟を正しながら答えた。
「言葉通りの意味だ。透が、自分をもっと鍛えて欲しいとな」
やはり透は、あの戦いでクリスを危険に晒した事をとても悔いていたのだ。彼女を危険に晒した、彼女を守り切る事が出来なかった事に対し、己の弱さを悔やみ怒りすら抱いていた。今まで怒りを全て流してきた彼には珍しい事であった。
「僕は、もっと強くならなくちゃいけないんだ……そうしないと、またクリスが奴らに危ない目に遭わされる。そんなのイヤなんだ。僕は、クリスに傷付いてほしくない。だから……」
そう言って立ち上がり剣を取ろうとする透。だがクリスはそんな彼の何処か弱々しい姿に、胸が締め付けられるような気持ちになり気が付けば彼をその場に押し倒していた。
「馬鹿野郎ッ!!」
「わっ!? ク、クリス?」
突然クリスに押し倒されて困惑する透。何故と起き上がろうとした、その彼の仮面に小さな雫が滴った。
「馬鹿……透の馬鹿……! 1人で全部背負い込むなって、言っただろうが……!?」
「クリス……」
雫はクリスの涙だった。彼女はトオルの上で馬乗りになりながら、彼に覆い被さった状態で涙を流していた。それは怒りの涙ではなく、結果的に彼に全てを背負わせてしまっている自分の不甲斐無さに対する悔しさと彼の重荷になってしまっている事への悲しさの涙だった。
すすり泣くクリスを見て、奏と翼は顔を見合わせ肩を竦めると、奏が優しくクリスを透の上から退かせ翼が透に手を貸し起き上がらせる。
「北上……雪音
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