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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
初デートと初長編 @
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   * * * *


「さあ、銀座に着いたよ」

 初めて訪れる銀座の街で、愛美が最初に見たのは交差点に建つ、時計台が有名なビル。

「わぁ……、立派な時計台。わたし、TVで観たことあるかも」

「ああ、〈和光〉の時計台だね。ここは有名な怪獣映画で壊されたこともあるんだよ。もちろん映画用のセットで、だけど」

「あははっ、そりゃそうだよねー」

 純也さんが大真面目に、でも茶目っ気も交えて説明してくれたので、愛美は笑ってしまう。

 コインパーキングに車を停め、二人は〈和光ビル〉の前まで歩いてきた。

「……う〜、寒い!」

「よかったら、俺のマフラー巻いとく?」

 純也さんが、自分の首に巻いていた焦げ茶色のマフラーを貸してくれた。素材そのものの温かさと、彼が直前まで巻いていたこともあって、首元がすぐに温かくなった。

「いいの? ありがとう。……あったか〜い!」

「それ、カシミヤだからあったかいよ。でも色がなぁ。コートと同じく、なんかオッサンみたいで気に入らなくて。ホントはもうちょっと年相応な色が好みなんだけどな」

「純也さんの好きな色は?」

「ブルーとかネイビー系かな」

(……よし! バレンタインデーにはチョコだけじゃなくて、手編みのマフラーもプレゼントしよう!)

 実は、愛美は編み物も得意なのだ。――それはともかく。

「……そうだ、取材取材! 写真撮っとこう」

 愛美がスマホを横に構え、構図を気にしながら撮影するのを、純也さんは優しい眼差しで見守っていた。
 その眼差しは果たして辺唐院純也≠ニしてなのか、それともあしながおじさん≠ニしてなのかどちらなんだろう?

「俺が入ったイメージショット、撮っとかなくていい? 実際にモデルがいた方がイメージ湧くだろ?」

「あ、そっか。じゃあ、撮らせてもらいます」

 というわけで、純也さんにはビルの前に立っていてもらい、もう一枚撮影した。


 ――二人はその後、〈GINZA(シックス)〉や高級ブランドのショップ、オシャレな靴のお店などでウィンドーショッピングを楽しみ、愛美はそれぞれのお店の前で純也さんをモデルにしたイメージショットを撮影して回った。

「愛美ちゃん、何か欲しいものがあったら俺に言ってね。買ってあげるよ」

「そんなの申し訳ないよ。わたしは一緒に街を歩いて回れるだけで十分楽しんでるからいいの」

(純也さん、そんなパパ活≠ンたいなこと言わないでよ……)

 愛美はちょっと悲しくなった。それじゃまるで、純也さんとお金目当てで付き合っているみたいじゃないか。
 それとも、あしながおじさん≠ニしてのボロが出かかっているんだろうか?

「わたし、別に
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