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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
初デートと初長編 @
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通り料理を堪能してカフェオレを飲む愛美を、純也さんはニコニコ笑いながら眺めている。
「愛美ちゃんって、何でも美味しそうに食べるね。見てる俺も幸せな気持ちになるな」
「あら叔父さま、ごちそうさまです。愛美さんはキライな食べ物がないんですものね。私も毎日寮の食堂で観てますけれど、本当に何でも美味しそうに召し上がるんですのよ」
「珠莉ちゃんって確か、トマトが苦手なんだよね? 千藤農園で作ってるトマト、食べてもらいたいなぁ。あれ、売ってるトマトと違ってすごく美味しいんだよ。ね、純也さん?」
「ああ。マジで珠莉にも食べさせたいよ。善三さんたちの作る野菜はどれも美味いから」
千藤農園で育てている作物はどれも無農薬で、規格外の野菜でも十分美味しいのだ。あのトマトを食べたら、きっと珠莉のトマト嫌いも克服できるだろう。
「――あー、美味しかったぁ! ごちそうさまでした」
三人とも、お喋りとともに食欲も弾み、朝食を残らず平らげてしまった。
「ごちそうさま。――俺、食事で一番大事なマナーは『いただきます』と『ごちそうさま』が言えることだと思うんだよな。だから、愛美ちゃんはちゃんとマナーができてるんだよ。さすが、いい施設で育ってきただけのことはあるな」
「純也さん……、それってわたし、喜んでいいところなの?」
「うん。褒めたんだから、そこは喜んでいいよ」
純也さんはきっと、昨日自分の義姉に施設育ちだということをバカにされて気を悪くした愛美をフォローしてくれているのだ。
「そっか……。純也さん、ありがとう」
「じゃあ叔父さま、片づけは私から由乃さんにお願いしておきますから、そろそろ出かける支度をなさったら? 愛美さんはちょっとお化粧直しをしましょう」
「そうだな、分かった。じゃあ、俺は先に家を出て車で待ってるから、愛美ちゃんは後から出ておいで」
「うん。じゃあ、後でね」
そうして純也さんが先にアウターを羽織って退室していき、愛美はダイニングに残って珠莉にメイクを直してもらってから一旦部屋に戻り、バッグとコートを取って家を出た。
* * * *
「――じゃあ、行こうか」
「うん!」
こうして、純也さんが運転するSRV車は走り出した。
(初めての助手席……、緊張するなぁ)
愛美にとってはこれが助手席デビューでもあった。
後部座席は絶対に閉めなければならないわけではないシートベルトも、助手席では必須なので、それもまた緊張する要因だった。
「ね、純也さん。まずはどこに行くの?」
「やっぱり銀座かな」
「銀座か……。なんか大人の街っていうイメージだから、わたしみたいな子供が行ったら浮いちゃいそうだなぁ」
銀
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