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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
初デートと初長編 @
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を始めた。

「――今日は街を歩くんだから、髪型は……そうね、五月に原宿へ行った時みたいな感じでどうかしら? さやかさんみたいに上手にはできないかもしれないけど」

「ああ、いいねぇ。大丈夫、やってもらうんだから、わたし文句は言わないよ」

 というわけで、ヘアスタイルは編み込みを取り入れたハーフアップに決まった。「さやかほど上手くできない」と珠莉は言ったけれど、愛美にはその出来映えがあまり変わらないように見えた。

「メイクは昨夜のパーティーの時ほどしっかりしなくてもよさそうね。ベースとリップくらいでいいかしら。リップの色は……これなんかどう?」

 珠莉が勧めた口紅の色は、オレンジがかった淡いピンク色。この上からグロスを乗せれば、可愛くて少し大人っぽい口元になるだろう。

「うん、いいかも」

 というわけで、珠莉は手早くメイクに取りかかる。自然な仕上がりになるようファンデーションを薄く肌になじませ、その上から軽くフェイスパウダーをはたき、リップブラシで口紅を塗り、別のリップブラシで淡いピンク色のグロスを薄く重ねた。

「……はい、できましたわ。仕上がりはどう?」

「おぉ……、可愛くなってる。ね、珠莉ちゃん。リップの直し方、わたしにも教えてくれない?」

「ええ、いいけど……。よかったら、この口紅はあなたに差し上げてよ。使いかけで申し訳ないけど。落ちたら塗り直すだけでいいから」

「いいの? こんなに高そうな口紅もらっちゃって」

 珠莉がくれた口紅は高級ブランドのもので、多分これ一本だけで数千円はする代物だ。当然ドラッグストアなどでは売られておらず、デパートなどのコスメ売り場でしかお目にかかれない。

「いいのよ。私はまたいつでも買えるし、今日は何たってあなたと純也叔父さまとの初デートですもの。記念に差し上げるわ」

「……うん、ありがと」

 愛美もお年頃の女の子なので、一応リップクリームとコンパクトミラーの入ったポーチくらいは持ち歩いている。この口紅もそこに入れて持っていくことにした。

「――さ、叔父さまはもうダイニングにいらっしゃるはずだから、朝食を頂きに行きましょう」

「うん」

 愛美は珠莉に案内され、二階の中央にあるというセカンドダイニングルームへ向かった。


   * * * *


「――おはようございます、叔父さま」

「おはよう、純也さん」

 二人の少女がセカンドダイニングへ行くと、純也さんはスマホでどこかへ電話をしていた様子。

(純也さん、今日はわたしとデートだよね? 一体どこに電話を……?)

 通話を終えた彼は、姪と恋人に気づいて振り向いた。

「おはよう、二人とも。――愛美ちゃん、昨夜はよく眠れた?」


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