暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
冬休みin東京 A
[7/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
っとシャレてるだろ?」

「ふふふっ、うん」

 確かに、彼がいてくれなかったら愛美は一人だけ疎外感を感じてパーティーを楽しめなかった。
同じくこういう場が好きじゃないという純也さんがいてくれてよかった、と愛美はホッとしていたのだった。


 ――その夜、ゴージャスなバスルームで入浴を終えた後、愛美はあしながおじさん≠ノ宛てて手紙を(したた)めた。


****

『拝啓、あしながおじさん。

 お元気ですか? わたしは今日も元気です。
 この手紙は東京の白金台にある珠莉ちゃんのお家で書いてます。
 寮には平泉さんっていう、年配の執事兼運転手さんが立派なリムジンで迎えに来ました。
 まだ〈わかば園〉にいた頃、わたしはよくさっそうとリムジンに乗り込んでお屋敷に帰っていくお嬢さまになった空想をしてました。今日、珠莉ちゃんがリアルにその空想のお嬢さまに見えて、何だか面白かったです。あ、わたしも一緒に乗って来たんだった……。
 平泉さんはすごくいい人で、「モデルになりたい」っていう珠莉ちゃんの夢も、純也さんと同じように応援したいって言って下さって。珠莉ちゃんも、こんな身近に味方が一人増えたことをすごく喜んでました。
 珠莉ちゃんのお家は靴を脱がなくていい欧米の生活スタイルで、〈双葉寮〉もそうですけど、一般のお家にもそんな家庭があったなんてわたしは知らなくてビックリしました。
 着いた時、お家の前にはもう純也さんの車が停まってました。
 最初に出迎えて下さったのは家政婦の高月由乃さんで、なんか冷たい感じの女の人でした。
この人もそうだけど、辺唐院家の人たちはみんななんかヘンです(あ、純也さんと珠莉ちゃんは別ですけど)。特に、珠莉ちゃんのお母さまはものすごくイヤな感じの人。さやかちゃんのお母さんとは正反対の人です。わたし、将来結婚しても、絶っっ対にこの家みたいな家庭にはしたくないって思いました。……あ、招待されたお家をディスるのってよくないですよね。おじさま、ここだけの話ってことにして下さい。
 だって、珠莉ちゃんのお母さまにはムカついたんですもん! わたしが自己紹介してるのに、途中で遮ってわたしの両親のことを訊いてきたの。で、両親が亡くなってて中学卒業までは施設で育ったって言ったら、わたしを値踏みでもするみたいに見て、マウントをとろうとしてたんです! でも、ちょうどその時に純也さんが現れてガツンと言ってくれて、わたしスカッとしました。
 辺唐院家の人たち、特に珠莉ちゃんのお母さまは純也さんが養護施設とかに寄付したりしてることを、「下らない」って思ってるみたい。もっとセレブらしいことにお金を使えばいいのに、って思ってるみたいです。でも、純也さんは庶民的なお金の使い方だってするんですよ。スイーツだって買うし。
 純
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ