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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
冬休みin東京 A
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っていって、銀座や浅草・スカイツリー周辺の街並みやお店などの写真をたくさん撮っておこうと思った。

(でも……初デート。もちろん取材もしなきゃだけど、楽しみすぎる……)

「――もうすぐクリスマスパーティーが始まるな。二人は先に行っといて。俺は後から行く」

「はーい」

「分かりましたわ。叔父さま、相談に乗って頂いてありがとうございました」

 愛美と珠莉は、一足先にパーティー会場である一階のメインダイニングへと下りていった。


   * * * *


 ――辺唐院家で行われるクリスマスパーティーは、牧村家のそれとは趣向も規模も大違いだった。

 食事は立食スタイルなのでテーブルマナーをうるさく問われることはないし、ケーキなどのスイーツも出されている。のだけれど。
 招待客は多いし、それもセレブばかり。話す内容は高級ブランドだの、身に着けているジュエリーがいくらかかっただの、株や投資の話題だのという上辺だけの会話ばかりで、その人自身の話題や身近な話題はほとんど出てこない。

 愛美も「これも取材の一環」と、どうにか話に食らいつこうと頑張ってはみたけれど、元々が次元の違いすぎる人たちの話題なので、聞いたところでまったく理解が追いつかなかった。
 
「う〜……、疲れたー……」

 脳が完全にキャパオーバーを起こし、テーブルにグッタリと突っ伏していると、目の前にクラッシュアイスが浮かんだ冷たいオレンジジュースのグラスがゴトリと置かれた。

「愛美ちゃん、お疲れ。こういう雰囲気って、慣れてないと疲れるよな」

「あ、純也さん……。ありがと」

 顔を持ち上げると、グラスを置いてくれたのは遅れて下りてきた純也さんだった。
 自分も飲みかけのオレンジジュースのグラスを持っていて、愛美が持ち上げたグラスに「乾杯!」と軽くコツンと合わせた。

「食事は済んだ? こういうところじゃ、あんまり食が進まないだろうけど」

「ううん、けっこう食べられたよ。美味しそうなものがいっぱいあったから。……ジュース、いただきます」

 ジュースを一気に半分ほど飲んだ愛美は、ホストとして招待客の社交辞令に付き合っている珠莉に視線を移す。

「珠莉ちゃんはスゴいなぁ。あの輪の中にすんなり入っていけるんだもん。わたしはムリだったなぁ。何ていうか、わたし一人だけハブられてるような疎外感が……。今も多分、純也さんがいてくれなかったら一人だけ浮いてたよ」

「まあ、珠莉は小さい頃からこういう場に慣れてるからな。俺はキライだけど、今日は愛美ちゃんが壁の花にならないようにここにいるんだ」

「壁の花=H」

「うん。欧米では、パーティーの席で誰からも話しかけられない人のことを壁の花≠チて言うんだよ。何かちょ
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