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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
冬休みin東京 A
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ジャマして大丈夫? もう着替えって済んでる?」
「ああ、大丈夫だよ。どうぞ」
「――だって。珠莉ちゃん、ほら」
純也さんの返事を聞いてから、愛美は珠莉に入室を促した。
「おジャマしまーす」
「叔父さま、失礼します」
「二人とも、どうした?」
二人を迎え入れてくれた純也さんは、ボルドー色のスーツにグレーのカラーシャツ、紺色のネクタイというスタイルだった。
(わ……! やっぱり純也さんのスーツ姿、カッコいい……!)
「……叔父さま、またそんなキザったらしい格好を」
一人ときめいている愛美とは逆に、珠莉は叔父の独特なカラーセンスに呆れて一言物申さずにはいられなかったらしい。
「珠莉、お前はわざわざ俺にそんなことを言いに来たんじゃないだろ」
「ああ……、そうでした。つい口が滑ってしまって」
「あのね、純也さん。珠莉ちゃんがちょっと、純也さんに相談に乗ってほしいことがあるんだって」
珠莉も自分からは言い出しにくいだろうと思い、愛美が先に助け舟を出してあげた。
「俺に……相談? 珠莉、言ってごらん?」
「ええ……。叔父さま、実は私――」
珠莉は叔父に、将来モデルになりたいという夢があること、それを両親には猛反対されそうだから打ち明ける勇気がないことを話した。
「――私も半ば諦めかけていましたの。でも愛美さん、さやかさんとお友だちになって、あと叔父さまにも感化されて。やっぱり諦めきれなくて、本気で目指そうと思うようになりましたの。ただ……、お父さまとお母さまにはまだ打ち明ける勇気が出なくて……。叔父さまが味方について下さったら、私も話しやすくなると思うんですけど」
一言も口を挟まず、うんうんと頷きながら話を聞いてくれた純也さんが、珠莉の話が終わったタイミングで口を開いた。
「一つだけ確認させてもらうけど。珠莉、お前は本気でモデルを目指すつもりでいるんだな?」
「ええ、もちろん本気です」
「……分かった。お前が本気なら、俺も全力でお前の夢を応援するよ。お前が兄さんとお義姉さん――両親に打ち明ける時にも、俺が援護射撃してやるから。そこは信用してくれ」
「……ええ! 叔父さま、ありがとうございます! 私、必ず叔父さまの恩に報いるようなモデルになりますわ!」
「わたしからもありがとう、純也さん!」
(やっぱり
純也さん
(
このひと
)
は、夢を追う子供を放っておけない優しい人なんだ。わたしやリョウくんだけじゃなくて珠莉ちゃんのことも)
だからこそ、〈わかば園〉のような児童養護施設にも援助を惜しまないのだと愛美は思った。
「――ところで純也さん。今のわたし、どう……かな? 髪とメイク、珠莉ちゃんがやってくれたの」
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