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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
冬休みin東京 A
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い目元に仕上げていく。

「愛美さんはお肌もキレイだし、元がいいからお化粧映えがしそうね」

 アイシャドウと同じ色のチークを頬に乗せながら、珠莉が愛美の肌や顔立ちを褒める。

「え……、そうかな? わたし、お肌の手入れとか特になんにもしてないんだけど」

「それはきっと、あなたの内面から出てくる美しさね。叔父さまと恋愛をしていて幸せホルモンが出てるから。あと、夢を叶えて生き生きと毎日を楽しく過ごしているから、かしら」

「……なるほど」

 毎日鏡で自分の顔を見ていても、その美しさに気づけなかったのはきっと、すぐ身近に珠莉という自分よりもキレイな存在がいるから。ついつい彼女と自分を比べては、「わたしは珠莉ちゃんほど美人じゃないし……」と自分を下に見てしまっていたんだろう。

「愛美さん、自分に自信を持つことは、自分の美しさを素直に受け入れることから始まるのよ。まずは叔父さまに、キレイなあなたを見てもらいましょうね」

「うん」

「それじゃ、リップを整えるから、ちょっとお喋りはストップしていましょうね」

 愛美が口を閉じると、珠莉がリップブラシを使って丁寧に口紅を塗っていく。選んだ色はチェリーピンク。少し派手めな色だと愛美は思ったけれど、パーティー用のメイクならこれくらいでちょうどいいのかもしれない。
 さらにその上から別のリップブラシでグロスを乗せられ、珠莉の手によるメイクアップは完了した。

「――はい、終わりましたわ。鏡をご覧なさい」

「…………わぁ……っ! これ、ホントにわたし……? 別人みたい」

 ドレッサーの鏡に映るのは、普段見慣れた愛美とはまったく違う女の子の顔だった。

「ね、お化粧ひとつで変わるものでしょう? じゃあ交代して下さる? 私もヘアメイクしたいから」

「ああ……、うん」

 愛美が交代すると、珠莉はこれまた手早く自分の髪型やメイクを整えていく。それは愛美にしてくれたような手の込んだものではなく、わりと簡単なものだった。
 襟巻きを着け、ハンカチとポケットティッシュなど最低限の小物を入れたクラッチバッグを持って準備万端整った愛美に、珠莉は自分のヘアメイク完了を告げる。

「……ま、私のはこんなものでいいでしょう」

「えっ、珠莉ちゃんはそんな適当でいいの? わたしはこんなに可愛くしてくれたのに」

「ええ、いいの。私はどちらかというとホスト側だもの。さ、純也叔父さまのお部屋へ行くわよ」

「うん。純也さんも着替え終わってるといいんだけど」

 珠莉の部屋を出た二人は長い廊下を進んでいき、突き当たりの角部屋のドアをノックした。ここが純也さんの部屋である。

「――はい?」

「純也さん、愛美です。珠莉ちゃんも一緒なんだけど。今、お
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