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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
冬休みin東京 A
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たシャンデリアがぶら下がっている。
広いし快適そうな部屋ではあるけれど、何だか落ち着かない。
「……さて、着替えよっかな」
あしながおじさん=\―純也さんから送られてきたドレスや小物などの一式は、スーツケースとは別に梱包してここへ持ってきた。執事の平泉さんがリムジンから運び込んでくれている。
ところが、いざ着替えようとドレスを手に取ったところで問題が発覚した。
「……っていうかこのドレス、ひとりで着替えるのはムリなヤツだ。着替えも珠莉ちゃんのお部屋でしなきゃダメだな」
愛美は一式を抱えて、隣りの珠莉の部屋のドアをノックした。
「珠莉ちゃん、愛美だけど。ゴメン! 着替えもこっちでしちゃダメかな? ちょっと手伝ってほしくて」
「どうぞ、入ってらっしゃい」
――珠莉の部屋へ入れてもらった愛美は、彼女に背中のファスナーとホックを手伝ってもらいながらドレスに着替え、黒のストッキングとワインレッドの靴を履き、あと残すはネックレスと襟巻きだけ。
「ネックレスはどうしようかな……。襟巻きしたら見えないよね」
「まあ、襟巻きは外すこともあるでしょうし、ネックレスを着けた上から最後に襟巻きをすればいいんじゃないかしら」
「あ、そっか! じゃあそうしよう」
「でも、襟巻きをする前に……。愛美さん、こちらへいらっしゃい」
手早く着替えを済ませた珠莉が――彼女のドレスは水色で、スタイルの良さが引き立つタイトなデザインの膝丈だった――、愛美をドレッサーの前に手招きした。
「髪のアレンジとメイクをしてあげるわ。大人っぽいヘアスタイルとメイクをしたら、純也叔父さまもあなたに惚れ直して下さるわよ」
「え……、うん。じゃあ、珠莉ちゃんに任せるよ」
珠莉はワックスやヘアアイロンなどを使いこなして愛美の髪にウェーブをかけ、コスメボックスを開けてメイクを始めた。
「……ねえ、珠莉ちゃん」
「何ですの?」
「純也さんに、珠莉ちゃんの夢のこと相談してみたらどうかな? この後、パーティーに出る前に時間取ってもらって」
睫毛にマスカラを塗ってくれている珠莉に、愛美は言ってみた。
めったに実家へ帰ってこない彼がこの家にいる今こそ、相談する絶好のタイミングではないだろうか。電話で相談するよりも、直接話した方が伝わりやすいだろうし。
「わたしもついててあげるから、この後純也さんのお部屋に行こう?」
「……そうね。こういうことは早い方がいいものね。じゃあ、後でちょっとお付き合いしてもらおうかしら」
純也さんに相談する決意を固めた珠莉は、愛美のメイクを進めた。
両瞼の上に淡いピンク色のシャドウを乗せ、指先でぼかす。下瞼にはポッテリとした涙袋を作り、可愛らし
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