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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
ホタルに願いを込めて…… A
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にもこんな時代があったんだなーって思ったら、楽しくて」

 黒歴史を暴露されたようで、慌てふためく純也さん。でも、愛美が楽しそうに話すので、彼女の笑顔を見るといとおしそうに目を細める。

「……まぁいいっか。――その本、面白いだろ? 愛美ちゃんも気に入ってくれてよかった。僕が読書好きになった原点だからね」

「はい。何回読んでも飽きないです。わたしもこんな小説が書けるようになりたいな。……あ」

「……ん?」

「わたし、文芸誌の公募に挑戦することにしたんです。で、短編を四作書いたんですけど、どれを応募しようか迷ってて……。純也さん、読んで感想を聞かせて下さいませんか? それを参考にして、応募作品を決めたいんで」

「いいけど、僕はけっこう辛口だよ?」

 ――なるほど、珠莉の言っていたことは正しいようだ。やっぱり純也さんの批評は厳しいようである。

「……分かってます。でも、できる限りお手柔らかにお願いしたいな……と」

「了解。できる限り……ね」

 純也さんはニッコリ笑った。けれど、ちょっと怖い。

(どうか全滅だけはまぬがれますように……!)

 一応、自分の文才は信じている愛美だけれど、ここは祈るしかなかった。書き手が「面白い」と思う作品と、読み手が「面白い」と感じる作品が必ずしも同じとは限らないのだ。

「――あ、そうだ。ホタルはいつ見に行く?」

「えっ、ホタル?」

 愛美は戸惑った。彼との電話でもメッセージのやり取りでも、一度もその話題には触れたことがなかったのに。強いて言うなら、春に彼と寮の部屋でお茶会をした時、「好きな人と見たい」と言ったくらいだった。
 あしながおじさん≠ヨの手紙には、確かに「純也さんとホタルが見たい」と書いたことがあったけれど。どうしてそのことを、彼が知っているんだろう……?

「あー……、えっと。……田中さん! そうだ、田中さんから聞いたんだよ! 愛美ちゃんが僕とホタルを見たがってるってね」

「ああ、おじさまから聞いたんですね。なるほど。そういうことならぜひ一緒に見に行きたいです」

「じゃあ見に行こう。えーっと、今夜の天気は……」

 純也さんがスマホで天気予報を検索し始めたので、愛美もそれに(なら)った。

「――そのスマホカバー、使ってくれてるんだね」

 純也さんは愛美のスマホを見て、嬉しそうに言った。

「はい。あの日からずっと使ってます。だってコレは、純也さんが初めてわたしにプレゼントしてくれたものだから」

「そっか。大事に使ってくれてて嬉しいよ。――あ、今夜は曇りか。明日の夜は……」

 再び天気予報をチェックし始めた純也さんに、愛美が答える。

「明日の夜は晴れるみたいですね」

「よ
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