暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
ホタルに願いを込めて…… A
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あ、そうだ。お弁当作ってきたんですよ。おにぎりと玉子焼きと、夏野菜のピクルス」
愛美も、提げてきた保温バッグから二人分のお弁当箱を取り出した。何だかちょっとしたピクニックみたいだ。
「おっ、うまそうだね! イワナもそろそろいい感じに焼けてきたよ」
純也さんが焼けたイワナをお弁当箱に乗せてくれて、二人は豪華なランチタイム。
「焼きたてでまだ熱いから、ヤケドに気をつけてね」
「はい、いただきます☆ ……あっ、
熱
(
あ
)
ふっ!」
「ほら見ろ。だから言ったのに」
案の定、熱々の焼き魚を頬張ってハフハフ言っている愛美を見て、純也さんは楽しそうに笑った。
「じゃあ、僕も頂こうかな。……ん! 美味い!」
釣りたてのイワナは、純也さんがキチンとハラワタの処理をしてから焼いてくれた。魚のハラワタの苦みが苦手な愛美も、そのおかげで美味しく食べることができた。
初めて食べたイワナの塩焼きは身にほどよく脂が乗っていて、焼くとふっくらして美味しい。純也さんが言った通り、シンプルな味付けが一番素材の味を引き立たせている。
「この玉子焼きも美味しいね。多恵さんの味だ」
「……それ作ったの、わたしです」
「ええっ!? ……いや、多恵さんの味そのまんまだよ。驚いたな」
純也さんは愛美の料理の腕――というか再現度の高さに舌を巻いた。
「そんなに驚かなくても……。でも何より、こんなに空気の美味しい場所で食べられることが、一番のごちそうですよねー」
昼食を平らげた愛美は、その場で伸びをした。
「うん、そうかもしれないな。何年ぶりだろう、こんなにのんびりできたの」
純也さんはしみじみと言う。
彼は普段、東京という大都会で時間に追われた生活を送っている。経営者には経営者なりの忙しさというものがあるんだろう。
「――あ、そういえば。去年の夏、わたし屋根裏部屋で、純也さんが子供の頃に好きだった本を見つけたんです」
四月に寮に遊びに来てくれた時にも、五月に原宿へ行った時にも、純也さんに屋根裏部屋の話はしていなかったと、愛美は思い出した。
「えっ、屋根裏部屋? ――あそこ、まだあったんだ。もうとっくに物置と化してると思ってたよ」
「いえ、多恵さんがそのまんまにして下さってますよ。でね、その本をわたしも気に入っちゃって。そしたら多恵さんが、『愛美ちゃんにあげる』って。……ジャ〜ン♪」
愛美は自分のリュックの中からその冒険小説の本を取り出して、例の書き込みがある見開きを純也さんに見せた。
「うわ……。愛美ちゃん、見せなくていいって! なんか恥ずかしいから!」
「そうですかぁ? でもわたしにとっては、コレも純也さんの大事な成長の記録です。純也さん
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