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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
ホタルに願いを込めて…… A
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もあったけれど、それでは彼の方が珠莉の連絡先を知らないし、たとえ身内であっても第三者を巻き込むのは珠莉も気が退()けるのだろう。

「珠莉ちゃん、そんなに落ち込まないで。早めに日本に帰ってこられたら、治樹さんに会うチャンスもあるかもしれないから。ねっ?」

「……そうですわね。落ち込んでいても、何も始まりませんわね」

 愛美の一言で、暗かった珠莉の表情は見る見るうちに明るさを取り戻していく。

「ところで、お肌が白いっていえば愛美さん、あなたもじゃなくて?」

「うん、そうなの。わたし、小さい頃から全然焼けなくて。元々そういう体質なのかなぁ? 去年夏も、外でいっぱい農作業とか手伝ってたのに日焼けしなかったんだよ。わたしはこんがり小麦色に日焼けする子たちが羨ましくて仕方なかったなぁ」

「まぁ、そうね。長野はあまり日差しが強い地域でもないし、あなたがお育ちになった山梨もそうでしょう? 育った環境にもよるんじゃないかしらね」

「なるほど……、そうかも」

 愛美は納得した。もし生まれ育ったのが沖縄(おきなわ)みたいな南国だったり、ビルの照り返しの強い都会だったら、もっと日焼けしやすい体質になっていたかもしれない。

「でもね、愛美さん。私たちくらいの年齢になると、あまり日焼けはしない方がよくてよ。シミやそばかすの原因になりますもの」

「そうだよね。実はわたしも、去年おんなじこと考えてたんだ」

 年頃の女の子にとって――特に恋するオトメにとっては、日焼けはお肌の大敵なのだ。愛美だって珠莉だって、好きな人のためにもキレイなお肌を保ちたいのは同じ。

 ――二人がそんな会話をしている間に、「次は新横浜」という車内アナウンスが聞こえてきた。

「――あ、次だね。珠莉ちゃん、降りよう」


   * * * *


 ――JR新横浜駅で成田空港に向かう珠莉と別れ、愛美は去年と同じように新幹線の車上の人になっていた。
 去年はサンドイッチで昼食を済ませたけれど、今年はお財布の中身に余裕があるため、乗り換えのために降りた東京駅でちょっと高い駅弁を買って北陸新幹線の車内で食べた。

 その車内で、愛美は純也さんに、スマホから一通のメッセージを送信した。


『わたしは今、新幹線で長野の千藤農園に向かってます。
 純也さんはいつごろ来られそうですか? 連絡お待ちしてます☆』 


   * * * *


 ――JR長野駅の前には、一年前と同じように千藤農園の主人(名前は善三(ぜんぞう)さんという)が車で迎えに来てくれていた。もちろん、助手席には多恵さんも乗っている。

「こんにちは! 今年もお世話になります」

「愛美ちゃん、こんにちは。待ってたわよ」

「よく
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