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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
ホタルに願いを込めて…… A
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――そして、いよいよ七月二十日。今日から夏休みが始まる。
「じゃあさやかちゃん、わたしたちもう行くから。部活頑張ってね☆」
愛美は横浜駅まで、珠莉と一緒に行くことになっている。
「うん、頑張るよ。どこまで進めるか分かんないけどね。……あ、愛美の恋の進展具合も教えてよ」
「……もう! さやかちゃんシュミ悪いよぉ。――分かった。ちゃんと教えるよ」
女の子同士の友情なんて、こんなものじゃないだろうか。からかわれても、やっぱり親友には恋バナを聞いてほしいものなのだ。
「ところで愛美さん。荷物はそれだけですの?」
珠莉は愛美の荷物がスーツケースとスポーツバッグ、それぞれ一つずつしかないことに首を傾げた。
一年前にはこの他に、段ボール箱三つ分の荷物がドッサリあったというのに。
「うん。大きな荷物は先に送っといたの。去年より一箱少ないけどね」
千藤農園にお世話になるのも、今年で二度目。先に荷物が届けば、向こうもあとは愛美本人の到着を待てばいいだけ、ということだ。
「そうでしたの? じゃあ、そろそろ参りましょうか」
「うん。――さやかちゃん、行ってきま〜す!」
「行ってら〜〜! 二人とも、気をつけて。楽しんどいで!」
「「は〜い☆」」
――愛美と珠莉の二人は、まず地下鉄で新横浜駅まで出た。
その車内で、愛美は多分初めて珠莉と二人、ゆっくり話す機会に恵まれた。
「そういえば、初めて会った時から思ってたけど。珠莉ちゃんって肌白いよねー」
「まぁね。私、今まで話したことありませんでしたけど、実はモデルになりたいと思ってますの。そのためにスタイル維持だけじゃなく、美白にも気を遣ってますのよ」
愛美は彼女の夢を始めて聞いた。でも、スラリと背が高く、スタイルもいい珠莉らしい夢だと思う。
「へえー、そうだったんだ。珠莉ちゃんならなれるよ、きっと。でも、グアムに行ったら焼けちゃうんじゃない?」
「ええ、そうなのよ。私がグアムとか南国に行きたくないのは、それも理由の一つなの。あれだけ日差しが強いと、日焼け止めなんていくらあっても足りないもの」
「そうだよね……。でも、今回行きたくない理由はそれだけじゃないもんね?」
「ええ。治樹さんも東京にお住まいだってお聞きしてるし、東京にいれば街でバッタリ会うこともあるかもしれないでしょう? でも……、海外に行ってしまったら、帰国するまでは絶望的だわ……」
「うん……」
愛美は純也さんの連絡先を知っているから、たとえ会えなくても電話で声を聴いたり、メッセージのやり取りもできる。だからあまり「淋しい」とは思わないけれど。
珠莉は治樹さんの連絡先すらまだ知らない。妹であるさやかに訊く、という手
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