暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
ホタルに願いを込めて…… @
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――愛美たちの原宿散策から一ヶ月が過ぎ、横浜は今年も梅雨入りした。
「――愛美、あたしこれから部活だから。お先に」
終礼後、スポーツバッグを提げたさやかが愛美に言った。
「うん。暑いから熱中症に気をつけてね」
梅雨入りしたものの、今年はあまり雨が降らない。今日も朝からよく晴れていて蒸し暑い。屋外で練習する陸上部員のさやかには、この暑さはつらいかもしれない。
「あら、さやかさんもこれから部活? 私もですの」
「アンタはいいよねー。冷房の効いた部室で活動できるんだもん」
「そうでもないですわよ? お茶を
点
(
た
)
てるときのお湯は熱いし、着物も着なくちゃならないから」
珠莉は茶道部員である。さすがに活動のある日、毎回和装というわけではないけれど、定期的に
野
(
の
)
点
(
だて
)
を開催したりするので、大変は大変なのだ。
「へえー、そういうモンなんだぁ。どこの部も、ラクできるワケじゃないんだねー。――愛美も今日は部活?」
「ううん。
文芸部
(
ウチ
)
は基本的に自由参加だから、わたしは今日は参加しないよ」
「え〜〜〜〜、いいなぁ。……じゃあ行ってくるね」
「うん。行ってらっしゃい」
親友二人を見送り、自分も教室を出ようと愛美が席を立つと――。
「相川さん、ちょっといいかしら?」
クラス担任の女性教師・
上村
(
うえむら
)
早苗
(
さなえ
)
先生に呼び止められた。
彼女は四十代の初めくらいで、国語を担当している。また、愛美が所属している文芸部の顧問でもあるのだ。
「はい。何ですか?」
「あなた、今日は部活に参加しないのよね? じゃあこの後、ちょっと私に付き合ってもらってもいい? 大事な話があって」
「はあ、大事なお話……ですか? ――はい、分かりました」
(大事な話って何だろう? まさか、退学になっちゃうとか!?)
愛美は頷いたものの、内心では首を傾げ、イヤな予感に頭を振った。
(そんなワケないない! わたし、退学になるようなこと、何ひとつしてないもん!)
とはいうものの、先生から聞かされる話の内容の予想がまったくできない愛美は、小首を傾げつつ彼女のあとをついて行った。
* * * *
「――相川さん、ここで座って待っていてね。先生はちょっと事務室でもらってくるものがあるから」
「はい」
通されたのは職員室。上村先生は、その一角の応接スペースで待っているように愛美に伝えた。
(……事務室でもらってくるものって何だろ? ますます何のお話があるのか分かんない)
愛美は言われた通りにソファーに浅く腰かけ、一人首を捻る。
事務室といえば、管理しているのは生徒の名簿や成績や、学
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