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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
ホタルに願いを込めて…… @
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 今すぐには相談に乗ってもらえなかったけれど、電話で純也さんの声を聞けて、しかも夏休みには彼と一緒に過ごせると分かっただけでも、愛美の気持ちは少し楽になった――。


   * * * *


 ――その数週間後。すでに七月に入っていたある日。

「相川さん、ちょっと」

 短縮授業期間のため、午前の授業を終えて帰り支度をしていた愛美は、上村先生に手招きされた。

「――先生? どうしたんですか?」

「あなたの保護者の方から、今さっき奨学金の申請書が送り返されてきたそうよ」

「えっ、そうなんですか? それで、必要事項は――」

 もしも白紙で(愛美が埋めたところ以外は、という意味で)戻ってきたのなら、あしながおじさん≠ヘ愛美が奨学金を受けることに反対。キチンと書かれていたのなら、反対はされなかったということなのだけれど。

「キチンと埋められていたそうよ。というわけで、奨学金の申請はこれで無事に終わり。審査の結果は夏休み中に分かるはずだから、事務局からあなたに直接連絡があると思うわよ」

「そうですか……。分かりました。知らせて下さってありがとうございます」

 愛美は半信半疑ながらも、担任の先生にお礼を言った。

(おじさま、反対しなかったんだ。――あれ? でも『あしながおじさん』のお話の中では……)

 あの物語の中では、ジュディが奨学金を受けることにあしながおじさん≠ヘ猛反対で、何度も何度もグダグダと文句を書き連ねた手紙を秘書に出させていた。――あれは、彼女が自分の手を離れるのがイヤでやったことだと思うのだけれど……。

(じゃあ、わたしの方のおじさまには、わたしの自立を後押ししたいって気持ちがあるってことなのかな?)

「――ところで、今日は午後から文芸部の活動があるけど。相川さんは出られる?」

 上村先生は、今度は文芸部顧問の顔になって愛美に訊ねた。

「はい、出るつもりです。この夏に、ちょっと応募してみたい文芸コンテストがあって。その構想を練ろうかな、って」

「そうなの? その年で公募にまでチャレンジするなんて、さすが小説家志望はダテじゃないわね」

「……はあ。でも、他の部員の人たちもそうなんじゃないですか? みんな書くのは好きみたいだし」

「そんなことないわよ。ほんの趣味程度にやってる子がほとんどね。プロの作家を目指してる子の方が珍しいくらいよ」

 今年入ったばかりの一年生はまだどうか分からないけれど、二年生から上の部員はみんな文才がある。前年、部の主催で行われた短編小説コンテストでも、愛美以外の入選者はみんな文芸部の部員だった。

「文才があるからって、みんながみんなプロを目指してるわけじゃないの。
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