暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
ホタルに願いを込めて…… @
[5/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
もまだまだたくさんある。そういう点では、彼女はカゴの中の鳥≠ニ同じなのかもしれない。

「おじさまが賛成して下さるかどうかは分かんないけどね。一応おじさまが保護者だから、筋は通さないと」

「律儀だねぇ、アンタ。何も進学のことまでいちいちお伺い立てなくても、自分で決めたらいいんじゃないの?」

「それじゃダメだと思ったの。誰か、大人の意見が聞きたくて。……でも、誰に相談していいか分かんないから」

「でしたら、純也叔父さまに相談なさったらどうかしら?」

「えっ、純也さんに!? どうして?」

 何の脈絡もなく、この話の流れで出てくるはずのない人の名前が珠莉の口から飛び出したので、愛美は面食らった。

「ええと……、そうそう! 叔父さまは愛美さんにとって、いちばん身近な大人でしょう? きっと喜んで相談に乗って下さいますわ。愛美さんの役に立てるなら、って」

「そ、そう……かな」

 珠莉は何だか、取って付けたような理由を言ったような気がするけれど……。他に相談相手がいないので、今は彼女の提案に乗っかるしかない。

「じゃあ……、電話してみる」

 愛美は二人のいる前でスマホを出して、純也さんの番号をコールしてみた。善は急げ≠ナある。

『――はい』

「純也さん、愛美です。夜遅くにゴメンなさい。今、大丈夫ですか?」

『うーん、大丈夫……ではないかな。ゴメンね、今ちょっと出先で』

 純也さんは声をひそめているらしい。出先ということは、仕事関係の接待か何かだろうか?

「あっ、お仕事ですか? お忙しい時にゴメンなさい。後でかけ直した方がいいですよね?」

『いや、僕一人抜けたところで、何の支障もないから。――それよりどうしたの?』

「えっ? えーっと……」

 純也さんも忙しいようだし、あまり長話はできない。愛美は簡潔に要点だけを伝えることにした。

「……実は、純也さんに相談に乗って頂きたいことがあって。電話じゃ長くなりそうなんで、ホントは会ってお話ししたいんですけど。何とか時間作って頂けませんか?」

 電話の向こうで純也さんが「う〜〜ん」と唸り、十数秒が過ぎた。

『そうだなぁ……、しばらく仕事が立て込んでるからちょっと。でも、夏には休暇取って、多恵さんのところの農園に行けそうだから、その時でもいいかな? ちょっと先になるけど』

「はい、大丈夫です! 急ぎの相談じゃないから。――いつごろになりそうですか? 休暇」

 この夏は、純也さんと一緒に過ごせる! それだけで、愛美の胸は躍るようだった。

『まだハッキリとは分からないな。また僕から連絡するよ』

「分かりました。じゃあ、連絡待ってますね。失礼します」

 愛美は丁寧にそう言って、通
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ