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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
ホタルに願いを込めて…… @
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募目指してるんですか? 志が高くて羨ましいです」

「別に、そんなことないと思うけどな。小説家になるのが、わたしの小さい頃からの夢だったから」

「いえいえ、ますますスゴいですよ! もしかしたら、この部から現役でプロの作家が誕生するかもしれないってことですよね?」

「……こらこら。おだてても何も出ないよ、()()()ちゃん」

 和田(わだ)(はら)絵梨奈。――これが彼女の名前である。
 絵梨奈は愛美と同じ日に入部した女の子で、新入部員の中では愛美のことを一番慕ってくれている。

「じゃあ、絵梨奈ちゃんは自分のことに集中して。わたしも何か参考資料探そうかな……」

「はーい☆」

 絵梨奈がまた本に意識を戻したのを見届けて、愛美も本棚を物色し始めた。

   
   * * * *


 ――その日部室で、四作ほどの大まかなプロットを作り終えた愛美は、ちょっとした達成感を得て寮の部屋に帰った。このコンテストは手書き原稿を受け付けていないらしいので、今回はパソコンでの執筆に挑戦するつもりだ。

「ただいまー」

「お帰りなさい、愛美さん」

「お帰りー。お疲れさん」

 部屋には珠莉と、部活を終えたさやかもいた。部屋のバスルームでシャワーを済ませた後なのか、さやかの髪は少し濡れている。

「さやかちゃんも、部活お疲れさま。大丈夫? バテてない?」

「ああ、平気平気☆ めっちゃ汗かいたから、先にシャワー使わせてもらったし。こうして水分と塩分補給してるから」

 さすがはアスリートだ。彼女が飲んでいるのは、水分と塩分が両方摂れるスポーツドリンクだった。

「愛美も飲む?」

「うん、ありがと。もらおっかな。グラス持ってくるよ」

 愛美がキッチンから取ってきたグラスに、さやかが五〇〇ml(ミリリットル)のペットボトルからスポーツドリンクを注いでくれた。

「愛美さん、それを飲んだらお着替えなさいよ」

「うん、そうする」

 やっぱり、部屋に帰ってきてから制服のままでいるのは落ち着かない。

 ――着替え終えた愛美は、再び共有スペースの椅子に座り直した。

「部活はどうでしたの? 何かいいアイデアが浮かびまして?」

「えっとねぇ、とりあえず四作くらいのプロットが浮かんだよ。一応、全部小説として書いてみて、その中から応募する作品を選ぶつもり。今回はパソコンで原稿書くよ」

 雑誌の公募となると、どのジャンルが受賞しやすいかどうか、傾向を見極める必要があるのだ。

「そっか。じゃあ、その前に誰かに一通り読んでもらって、その人の意見とか感想も参考にした方がいいよね」

「でしたら、純也叔父さまに読んで頂いたらどうかしら? 
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