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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
恋する表参道♪ A
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しい話題ではないし、純也さんの事情にあまり踏み込んではいけない。だから、本人が答えたくないなら愛美は知る必要もなかったのだけれど。

「う〜〜ん、どう言ったらいいかな……。昔から、僕は打算で近づいてくる女性としか付き合ったことがないんだ。『僕と結婚したら、辺唐院一族の一員になれる』って計算があったり、財産が目当てだったり。言ってる意味分かる?」

「なんとなくは。つまり、本気で好きになってもらったことがないってことですよね」

「うん、そういうこと。大人になってからは特にひどい」

(純也さん、かわいそう……)

 愛美は思わず、彼に同情した。そんな恋愛ばかり経験してきたら、女性と知り合うたびに「この女もどうせ打算なんだろう」と穿(うが)った見方しかできなくなるのも当然だ。それくらいのこと、恋愛未経験者の愛美にも分かる。

「でも愛美ちゃんは、僕が今まで出会ったどんな女性とも違った」

「えっ?」

 愛美が不思議そうに瞬くと、純也さんは嬉しそうに続けた。

「君には打算なんてひと欠片もないし、逆に『生まれ育った環境なんてどうでもいい』って感じだよね。君は純粋でまっすぐで、僕のことを資産家一族の御曹司≠カゃなく、辺唐院純也≠チていう一人の人間としていつも見てくれてる。そういう女の子に、今まで出会ったことなかったから嬉しいんだ」

「純也さん……」

 愛美は人として当然のことをしているつもりなのに。今まで偏見やイジメに苦しめられてきたからこそ、自分は絶対にそういう人間にはなるまいと心がけてきただけだ。
 でも――、純也さんは愛美のそんな心がけを嬉しい≠ニ言ってくれた。

「愛美ちゃん、ありがとう。僕は君に出会えてよかったと思ってるよ」

「いえいえ、そんな」

 彼のこの言葉は、受け取り方によっては告白とも解釈できるのだけれど。恋愛初心者の愛美には、そんなこと分かるはずもなかった。

「――あ、そうだ。連絡先、交換しようか」

「え……、いいんですか?」

 自分からは、とてもそんなことを言い出す勇気がでなかったので、愛美の声は思いがけず弾んでしまう。

「うん、もちろん。実は、前々から愛美ちゃんに直接連絡取りたいなって思ってたんだ。それに毎度毎度、珠莉を通して色々ツッコまれるのも面倒だし」

「面倒……って」

 前半は愛美も嬉しかったけれど、後半のひどい言い草には絶句した。実の叔父から「面倒だ」と言われる姪ってどうなの? と思ってしまう。けれど。

「……まあ確かに、直接連絡取り合えた方が便利は便利ですよね」

 という結論に達し、二人はお互いのスマホに自分の連絡先を登録するという方法で、アドレスを交換した。

「――愛美ちゃん、スマホ使い始めて二年目だ
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