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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
恋する表参道♪ @
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「まあ! さやかさんのお兄さまでいらっしゃいますの? 私はさやかさんと愛美さんの友人で、辺唐院珠莉と申します」
「へえ、君が珠莉ちゃんかぁ。さやかから話は聞いてるよ。……で? そのオッサンは誰?」
「あたしたちは今日、この珠莉の叔父さんに招待されて、東京に遊びに来たの。これからミュージカル観に行って、ショッピングするんだ」
さやかはそう言いながら、右手で純也さんを差した。
「……どうも。珠莉の叔父の、辺唐院純也です」
純也さんはなぜか、ブスッとしながら治樹さんに自己紹介した。オッサン′トばわりされたことにカチンときているらしい。
「へえ……、珠莉ちゃんの叔父さん? 歳いくつっすか?」
「来月で三十だよ。つうか誰がオッサンだ」
(純也さん、それ言っちゃったら大人げないです……)
ムキになって治樹さんに食ってかかる純也さんに、愛美は心の中でこっそりツッコんだ。
そして、治樹さんは治樹さんで、愛美がチラチラ純也さんを見ていてピンときたらしい。愛美の好きな人が、一体誰なのか。
(お願いだから治樹さん、ここで言わないで!)
愛美の想いなどお構いなしに、治樹さんと純也さんはしばし
睨
(
にら
)
みあう。けれど、身長の高さと
目
(
め
)
力
(
ぢから
)
の強さに圧倒されてか、すぐに治樹さんの方が睨むのを諦めた。
「……すんません」
「いや、こっちこそ大人げなかったね。すまない」
とりあえず、火花バチバチの事態はすぐに収まり、さやかがまた兄に同じ質問を繰り返す。
「ところで、お兄ちゃんはなんでここにいんのよ? 住んでんのこの辺じゃなかったよね?」
「なんで、って。服買いに来たんだよ。この辺の古着屋ってさ、けっこういいのが揃ってんだ」
原宿といえば、古着店が多いことでも有名らしい。新しい服を買うよりは、古着の方が価格も安いしわりと掘り出し物があったりもして楽しのかもしれない。
「ああー、ナルホドね。だからお兄ちゃんの服、けっこう
奇抜
(
キバツ
)
なヤツ多いんだ」
「さやか、そこは個性的って言ってほしいな」
「でも、治樹さんにはよく似合ってると思います。わたしは」
「おおっ!? 愛美ちゃんは分かってくれるんだ? さすがはオレが惚れた女の子だぜ。お前とは大違いだな」
「はぁっ!? お兄ちゃん、まだ愛美に未練あんの? 冬に秒でフラれたくせにさぁ」
「うっさいわ」
街中で牧村兄妹の漫才が始まりかけたけれど、そこで終了の合図よろしく純也さんの咳払いが聞こえてきた。
「……取り込み中、申し訳ないんだけど。もうすぐ開演時刻だし、そろそろ行こうか」
「……あ、はーい……。とにかく! お兄ちゃん、もう愛美にちょっかい出さな
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