暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
恋する表参道♪ @
[7/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
前のオシャレなカフェでランチを済ませた後、竹下(たけした)通りを散策し始めた。

「――あっ、ねえねえ! このスマホカバー、可愛くない? 三人おソロで買おうよ! 友情のしるしにさ」

 とある雑貨屋さんの店内で、さやかがはしゃいで言った。

「わぁ、ホントだ。可愛い! 買おう買おう♪ ……待って待って。いくらだろ、コレ?」

 あまり高価なものだと、愛美は買うのをやめようと思っていた。

 所持金は十分にある。あしながおじさん≠ゥらクリスマスに送られてきたお小遣いも、さやかのお父さんからお正月にもらったお年玉(中身は一万円だった!)も、短編小説コンテストの賞金もまだ残っているし、そのうえ四月の末にまたお小遣いをもらったばかりだ。

 でも金額の問題ではなく、愛美は一年前に金欠を経験してから、節約するようになっていたのだ。あしながおじさん≠ゥら援助してもらったお金は、いつか独り立ちできたら全額返そうと決めていたから。

「そんなに高くないよ、コレ。二千円くらい」

「じゃあ買っちゃおっかな」

「私はいいわよ。スマホのカバーなら、高級ブランドのいい品を持ってますから」

「いいじゃん、珠莉。買えば。こんな経験できるの、今のうちだけだぞ」

 自慢をまじえて拒もうとする姪に、唯一の男性で大人の純也さんが口を挟んだ。

「大人になってからは、友達とお揃いで何か買うの恥ずかしくなったりするから。今のうちにやっとけば、後々いい思い出になるってモンだ」

 純也さんの言い方には、妙な説得力がある。珠莉はピンときた。

「……もしかして、叔父さまにも経験が?」

「そりゃそうだろ。俺にだって、学生時代の思い出くらいあるさ。――あ、そうだ。それ、俺からプレゼントさせてくれないかな?」

「「「えっ?」」」

 思いがけない純也さんの提案に、三人の女子高生たちは一同面食らった。

「そんな! いいですよ、純也さん! コレくらい、自分で買えますから」

「そうですよ。そこまで気を遣わせちゃ悪いし」

「いいからいいから。ここは唯一の大人に花を持たせなさい♪ じゃあ、会計してくる」

 そう言って、品物を受け取った彼が手帳型のスマホケースから取り出したのは、一枚の黒光りするカード――。

「ブラックカード……」

 愛美は驚きのあまり、思考が止まってしまう。
 ブラックカードは確か、年収が千五百万円だか二千万円だかある人にしか持てないカード。存在すること自体、都市伝説だと思っていたのに……。

「純也さんって、とんでもないお金持ちなんだね……」

 今更ながら、愛美が感心すれば。

「当然でしょう? この私の親戚なんですものっ」

 珠莉がなぜか、自分のことのように
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ