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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
恋する表参道♪ @
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あら、叔父さま。今日は何だかカジュアルダウンしすぎじゃありません?」

「あのなぁ……。原宿歩くのに、スーツじゃいくら何でも浮くだろ?」

 いつもは紳士的な口調の純也さんも、姪の珠莉が相手だと砕けた物言いになるらしい。

 「それにしたって、ちょっと若づくりしすぎじゃございません?」

「失礼な。(おれ)はまだ若いっつうの。今日び、三十なんてまだまだ若者だって」

(俺=c…? こんな打ち解けた純也さん、初めて見たかも)

 愛美は今まで知らなかった純也さんの一面を知り、嬉しくなった。

「愛美ちゃん、今日はいつもと髪形違うね」

「あ、分かっちゃいました? さやかちゃんがやってくれたんですけど、どう……ですか?」

 純也さんは女性不信らしいと聞いたけれど、女性のちょっとした変化には気がつくらしい。気づいてもらえた愛美は、さっそくできた彼との会話のキッカケに食らいつく。

「さやかちゃんが? そっか。可愛いね。よく似合ってるよ」

「あ……、ありがとうございます」

 女性をストレートに褒められる男性が減ってきているこの時代に、純也さんはどストレートに褒めてくれた。男性にまだ免疫のない愛美は、今にも顔から火を噴きそうな気持になった。

「まあまあ、叔父さまったら。キザなんだから!」

 珠莉が呆れているような、面白がっているような(愛美の気のせいかもしれないけれど)口ぶりで、叔父をそう評した。

「さやかちゃん、ヘアメイク上手だね。美容師目指してるのかい?」

「いえ。ウチに小さい妹いるんで、実家ではよく妹の髪やってあげてるんですよ」

 さやかは数週間前のチョコレートケーキが効いているのか、まだ会うのが二度目なのにもう純也さんと打ち解けている。
 彼女曰く、「チョコ好きに悪い人はいない」らしいのだ。

(いいなぁ……。わたしも二人みたいに、純也さんともっと打ち解けてお話できたらいいのに……)

 親戚である珠莉はともかく、さやかまでもがもの()じせずに純也さんと話せていることが、愛美は羨ましかった。
 というか、ロクに男性と話す機会に恵まれなかった、高校入学までの十五年のブランクが(うら)めしかった。

「――さてと、そろそろ行こうか。ミュージカルは二時開演だから、それまでに昼食を済ませて、ちょっと街をブラブラしよう」

「「はーいっ!」」

 純也さんの言葉に、愛美とさやかがまるで小学生みたいに元気よく返事をした。

「……この二人、ホントに高校生かしら?」

 珠莉ひとり、呆れてボソッとツッコむ。――彼女には、叔父と愛美たちが「遠足中の小学生とその引率(いんそつ)の先生」に見えたのかもしれない。

 ――それはさておき、四人は駅
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