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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
恋する表参道♪ @
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強スペースの隅にあるクローゼットに向かい、私服のブラウスとデニムスカートを出して制服を脱ぎ始めた。


   * * * *


 ――その日の夜。夕食も入浴も済ませ、まだ消灯時間には早いので、三人は部屋の共用スペースで思い思いにのんびり過ごしていた。

「――あ、そうだ。わたし、おじさまに手紙書こうかな。純也さんに『東京においで』って誘われたこと、おじさまに知らせたいの」

 愛美はそう言って、テーブルの上にレターセットを広げた。
 最近はただ手紙を出すだけではなく、レターセットにも()るようになってきた。シンプルなものよりも、季節感のあるものを好んで使うようになったのだ。

「うん、いいんじゃない? あたしたちはジャマにならないように、静かにしてるから」

「あ、ううん。そんなに気を遣わないで。普通にしてて大丈夫だよ」

「そう? オッケー、分かった。――ねえねえ珠莉、東京に行くときの服なんだけどさ、こんなのとかどう?」

 さやかは珠莉を手招きし、手にしていたティーン向けのファッション誌のページをめくって彼女と話し始める。
 愛美は普段通りの二人の様子にホッとして、改めてペンをとった。


****

『拝啓、あしながおじさん。

 お元気ですか? わたしは今日も元気です。
 二年生になってから、もうすぐ一ヶ月。去年の今ごろはまだ、わたしはこの学校に慣れてなくて、自分は浮いてるんじゃないかと思ってました。
 でも今は、ごく普通にこの学校の(ふん)()()になじんでいる気がします。
 文芸部の活動にも慣れてきました。一年生の新入部員の子たちとも仲良くしてます。学年は違っても、おんなじ新入部員ですから。
 来月に出る部誌の新入部員特集号には、わたしの小説が巻頭に載るそうです! おじさまにも読んで頂きたいな……。
 話は変わりますけど、今日の夕方、純也さんから珠莉ちゃんのスマホに電話がかかってきました。「来月の三日、珠莉ちゃんとさやかちゃんと三人で東京においでよ」って。
 なんでも、東京の大きな劇場で公演されるミュージカルの前売りチケットが買えたから、一緒に観たいってことだそうです。で、そのついでに美味しいものを食べたり、ショッピングしながら街を散策するのはどうかって。
 珠莉ちゃんはもちろん東京出身だし、さやかちゃんもお家は埼玉で東京はお隣だから、中学時代はよく東京で遊んでたらしいんですけど。わたしは本格的に東京の街を歩くのは初めてです。そして舞台鑑賞も初めて! すごくワクワクしてます。
 そして何より、純也さんとお出かけできるのがわたしには嬉しくて。その分、ドキドキもしてますけど……。
 もちろん泊りじゃなくて、日帰りですけど。連休中だから、帰りが遅くなっても大
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