暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
恋する表参道♪ @
[2/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
てきたかな。さやかちゃんの方は?」

「楽しいよ。まあ、練習はしんどいけど、走ってるとスカッとするんだ。記録(タイム)も縮まってきてるし、うまくすれば来月の大会に出られるかも☆」

「へえ、スゴ〜い! わたし、その時は絶対応援しに行くよ☆ ……ところで珠莉ちゃん、誰と話してるの?」

 愛美は電話中の珠莉をチラッと見ながら、さやかに訊ねた。

「ああ。なんかねえ、ほんのちょっと前に純也さんから電話かかってきてさ。もう、ホントについさっき」

「純也さんから?」

 彼の名前が出た途端、愛美の胸がザワつく。
 この部屋で、四人でお茶を飲んでからまだ数週間。こんなにすぐに、また彼の名前を聞くことになるなんて思ってもみなかった。

(……純也さん、わたしに「電話代わって」って言ってくれたりしないかな……なんて)

 こっそり、淡い期待を抱いてみる。自分から「珠莉ちゃん、電話代わって?」と言うのも、何だか厚かましい気がするし……。

「――えっ、愛美さんに代わってほしい? ……ええ、今帰ってきたみたいですけど」

 その期待が、純也さんにも伝わったんだろうか? 彼と電話中だった珠莉が急に驚いた様子で、愛美の方を振り返った。

(……えっ? ウソ……)

 愛美の胸が高鳴った。早く純也さんと話したくて、待っている時間がもどかしい。

「ええ、今代わりますわ。――愛美さん、純也叔父さまがあなたとお話ししたいそうよ」

「……あ、うん」

 彼からの指示だろうか、珠莉がスピーカーフォンにした自身のスマホを愛美の前に置いた。

「もしもし、純也さんですか? わたし、愛美です」

『やあ、愛美ちゃん。純也です。こないだはありがとう。元気にしてる?』

「はい、元気です。――今日はどうされたんですか? お電話、わざわざわたしに代わってほしいなんて」

 大好きな純也さんの声に胸がいっぱいになりながら、愛美はこの電話の用件を彼に訊ねた。

『うん、愛美ちゃんとまた話したくなったから』

「え…………」

『……っていうのも、もちろんあるんだけど。実はね、連休中に東京で公演されるミュージカルの前売りチケットが買えたんだ。四枚あるから、よかったら一緒に観に行けないかな、と思って。珠莉も、さやかちゃんも一緒に』

「ミュージカル……。っていうか、東京!? いいんですか!?」

 純也さんのお誘いに、愛美は目をみはった(テレビ電話ではないので、純也さんには見えないけれど)。

『うん。ついでにみんなで美味しいものでも食べて、買いものがてら街を散策するのもいいね。横浜(そっち)からなら日帰りで来られるだろうし。――そうだな……、五月の三日あたり。どうかな?』

「えーっと……、ちょ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ