暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
純也の来訪、再び。
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もらって欲しいものが買えること――。
もちろん、小説が書けることもそうだ。あしながおじさん≠ェ援助を申し出てくれなかったら、愛美は夢を諦めなければならないところだった。
高校へも行かずに小説家になることは、不可能ではないけれどとても高いハードルを越える必要があるから。
「でも、ウチの親族は僕の考えを理解してくれないんだ。『そんなこと、バカらしい』って言われるんだよ。僕に言わせれば、他の連中の方がおかしいんだけどね」
「はあ……。きっと感覚がマヒしてるんでしょうね。お金があるのが当然みたいに。――あっ、珠莉ちゃんは違うよね?」
愛美は慌ててフォローした。珠莉も最初はそういう子だと思っていたけれど、今は違う。本当はただの淋しがりやで、思いやりもあって、ただ素直じゃないだけだと分かっているから。
「お気遣いどうも、愛美さん。私も前はそうでしたわ。でもね、あなたやさやかさんとお友達になって、ちょっと価値観が変わったの」
「確かに、珠莉は昔会った時より人間が丸くなったな。こんないい友達に恵まれて、君は幸せものだと思うよ」
純也さんは、姪の珠莉にそんな言葉をかける。さすがは親戚だけあって、彼女の幼い頃のことをよく知っているのだ。
「そういえば純也さん、一年前にお話した時は珠莉ちゃんのこと『苦手だ』っておっしゃってましたっけ」
「愛美ちゃん……。そのことはもう忘れてくれないかな」
純也さんが、「余計なこと言うな」とばかりに愛美に懇願した。さすがに本人の目の前では言いたくなかったらしい。
「えっ、そうだったんですの?」
と、珠莉が今更ながら驚けば。
「アンタさぁ、叔父さん困らせるようなこと、さんざんやってたんじゃないの? そりゃ迷惑がられるわ」
と、さやかが彼女を茶化す。これは珠莉の図星だったらしく、珠莉はぐうの音も出なかった。
* * * *
――楽しいひと時はあっという間に過ぎ、ケーキも紅茶もすっかりなくなった頃。
「愛美ちゃん、さやかちゃん、珠莉。僕はそろそろ失礼するよ」
腕時計にチラッと目を遣った純也さんが、席を立った。
「えっ? ――わ、もうこんな時間!?」
愛美も自分のスマホで時間を確かめると、もう夕方の五時前だ。
純也さんが訪ねてきたのが三時半ごろだったので、かれこれ一時間半もこの部屋にいたことになる。
「じゃあ、三人で下までお見送りします」
愛美たちは制服のまま、純也さんと一緒に寮の玄関まで降りていった。
「今日はありがとう。楽しかったよ」
「こちらこそ、色々話を聞いて頂いてありがとうございました。お気をつけて」
「うん。――愛美ちゃん、小説頑張ってね。いつか僕にも読
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