暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
純也の来訪、再び。
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それはね……。実は僕と彼は、同じNPO法人で活動してるんだよ」
「NPO法人?」
オウム返しにする愛美をよそに、珠莉が何やら
怪
(
け
)
訝
(
げん
)
そうな視線を向けているけれど。愛美はそれには気づかない。
「うん。全国の児童養護施設とか、母子シェルターとかを援助してる団体でね。彼もある施設に多額の援助をしてるって言ってた。でも、まさかそこが愛美ちゃんのいた施設だったなんてね。初めて知った時は驚いたよ。世間って狭いんだなーって」
「そうだったんですか……」
愛美は妙に納得してしまった。
同じような年代で、同じ
志
(
こころざし
)
を持つ二人の資産家が同じ団体で活動。偶然が重なりすぎているような気もするけれど、まあそういうこともあるだろう。
ちなみに、母子シェルター≠ニいうのは
DV
(
家庭内暴力
)
の
脅
(
きょう
)
威
(
い
)
から母と子を保護するための施設である。
「じゃあ、純也さんも施設に寄付とかなさってるんですか?」
「うん、まあ……。彼ほどじゃないけどね」
「何をおっしゃいますの? 叔父さまだって四年くらい前から、私財をなげうってあちこ多額の寄付をなさってるじゃございませんか」
謙遜する純也さんに、珠莉がなぜかつっかかった。
「いいんだ、珠莉。ここは対抗意識燃やすところじゃないから。使いきれないほど財産があるなら、世の中のためになることに使う。これは当たり前のことだ」
「「……?」」
二人だけが何だか次元の違う話をしていて、愛美とさやかは顔を見合わせた。
「――ああ、ゴメン! 話が脱線しちゃったね」
「いえいえ、大丈夫です。あたしたちの方が、話について行けなかっただけですから」
さやかが手をブンブン振って否定する。お金持ち同士の会話に入っていけないのは、愛美も同じだった。
「でも、純也さんの考え方って立派だと思います。わたしもそういう人たちのおかげで、今日まで生きてこられたようなもんですから」
まさに今この瞬間も、その
恩恵
(
おんけい
)
にあずかっているのは愛美自身なのだ。
「そうだね。世の中には、国とか僕が参加してるNPO法人みたいなところの援助がないと生活できない人がまだまだいる。愛美ちゃんみたいにご両親のいない子供たちとか、生活保護を受給してる人たちもそうだね。僕たちは恵まれてることを、当たり前だと思っちゃいけないんだ。世の中に当たり前≠フことなんてないんだから」
純也さんの言っていることの意味が、愛美には一番よく分かるかもしれない。
この学校に入ってから、他の子たちが「当たり前だ」と思っていること一つ一つに、愛美はいつも感謝している。
高校で勉強できること、三食きっちり美味しいゴハンが食べられること、お小遣いを
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