暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
バイバイ、ネガティブ。
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…えっ? ええ……」

 突如巻き込まれた珠莉は一瞬戸惑ったけれど、実はさやかの言った通りだったらしい。

「もう。しょうがないなあ、二人とも。じゃあ、寮に帰ろう。着替えたらすぐ行くから」

 やり方は不器用ながら、二人は懸命に自分を励まそうとしてくれている。それが分かった愛美は、二人の親友の提案に乗ることにしたのだった。


   * * * *


 ――それから一週間が過ぎ、学年末テストも無事に終わった。
 けれど、愛美の体調は無事ではなく、テスト期間中から(のど)をやられているのかゴホゴホと咳込んでいた。

「大丈夫、愛美? カゼでも引いた?」

「ううん、大したことないよ。ちょっと喉の調子が悪いだけ」

 ムリしてさやかに笑いかける愛美だけれど、実は喉の痛みだけでなく頭痛にも悩まされていた。

「そう? だといいんだけどさ。――それにしても、愛美はやっぱスゴいわ。今回はとうとう学年でトップ(ファイブ)に入っちゃったもんね」

「……まあね」

 今度こそ、あしながおじさん≠ノ自分の頑張りを褒めてもらいたくて、愛美は必死に頑張ったのだ。たとえ、少々体調が(すぐ)れなくても。

 ただ――、体調が悪い時、人とは得てしてネガティブになるもので。

(もし、これでもおじさまに褒めてもらえなかったら……? もしかしてわたし、やっぱりおじさまに迷惑がられてる?)

 少なからず、愛美には自覚があった。
 考えてみたら、勉強に関することはほとんど手紙に書いたことがない。身の回りに嬉しい出来事や何かの変化があるたびに、手紙を出しては彼を困らせているのかもしれない。
 最初に「返事はもらえない」と、聡美園長から聞かされていたのに……。

(わたしって、おじさまにとっては迷惑な構ってちゃん≠ネのかも)

「――愛美、どした? 具合悪いの?」

 一人で黙って考え込んでいたら、さやかが心配そうに顔色を覗き込んでいる。

「ううん、平気……でもないか。わたし、ちょっと思ったんだよね」

「ん? 何を?」

「おじさまは、いつもわたしの出した手紙、ちゃんと読んでくれてるのかな……って。もしかしたらうっとうしくて、読みもしないでゴミ箱に直行してるんじゃないか、って」

 こういう時には、最悪の展開しか思い浮かばなくなる。

「秘書の人からは返事来てたけど、おじさまからは一回も来てないんだよ? もしかしたら、秘書の人は読んでくれてても、おじさまは読もうともしてないとか――」

「……愛美、怒るよ」

 愛美のあまりのネガティブさに、さすがのさやかも見かねたらしい。眉を吊り上げ、静かに愛美のネガティブ発言を遮った。

「おじさまは、あんたの一番の味方のはず
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