暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ A
[10/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
キッパリ言うつもりだったのだけれど。愛美は恋も初めてなら、異性をフるのもこれが初めてだ。治樹がいい人そうなので、何だか申し訳ない気持ちになってしまう。

「…………あー、こんなに早くフられるとはなぁ……。ちょっとショックだわ、オレ」

「ホントにゴメンなさい。でもわたし、自分の気持ちにウソつきたくなくて」

「いや、もういいよ。謝んないで。愛美ちゃんがすごくいいコだってことは分かったから。さやかにも何割か……いや何パーセントか分けてやってほしいわ」

「ちょっとお兄ちゃん! それ、どういうイミよ!?」

 目くじらを立てた妹に、治樹はしれーっと言い返す。

「愛美ちゃんの優しさを、お前もちったぁ見習え、っつってんの」

「はあっ!?」

(……ヤバ。わたしのせいで兄弟ゲンカ始まっちゃった)

 この状況に責任を感じた愛美は、どうにかこの場を収めるためにフォローを入れた。

「あの……、治樹さん。さやかちゃんはすごく優しいし面倒見もいいですよ。わたしなんか、いつもさやかちゃんに助けてもらってばっかりだし」

「そうなんだ……。あ、じゃあさ、これからもさやかと仲良くしてやってよ。こんなヤツだけど」

「だーかーらぁ、こんなヤツ≠チてどういうイミなのよ!?」

「まあまあ。さやかちゃん、落ち着いて!」

 またケンカになりそうな牧村兄妹を、愛美は必死になだめた。

「――あ、姉ちゃん。おかえりー。そのお姉さん、誰?」

 愛美がさやかと治樹と一緒にリビングへ入ると、あの家族写真に写っていた父親以外の家族がズラッと揃っていた。
 そして、その中で中学一年生だというさやかの弟が口を開く。

「ただいま、(つばさ)。このコはお姉ちゃんの友達で、相川愛美ちゃんだよ」

「翼くんっていうの? よろしくね」

「っていうかアンタ、また靴脱ぎ散らかしたまんまにしてたでしょ。『脱いだ靴はちゃんと揃えなさい』って、いっつもお母さんに言われてるでしょ?」

「あ、ゴメン! 忘れてた」

 翼というさやかの弟は、ボサボサ頭を掻きながらペロッと舌を出す。

(素直なコだなぁ)

 中学生の男の子なら、反抗期に入っていてもおかしくないのに。両親の育て方がいいからなんだろうか。

(さやかちゃんも治樹さんも優しいし)

「おねえたん、おかえりなさぁい。ココたんも『おかえり』っていってるよー」

「ただいま、美空(みく)。ココもただいま」

 五歳の妹・美空に微笑みかけたさやかは、彼女が抱っこしている三毛猫の頭を撫でた。

(可愛いなぁ……)

 愛美はその光景にホッコリした。
 美空は写真で見ても十分可愛かったけれど、実物はそれ以上に可愛い。猫のココを抱っこしている
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ