暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ A
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キッパリ言うつもりだったのだけれど。愛美は恋も初めてなら、異性をフるのもこれが初めてだ。治樹がいい人そうなので、何だか申し訳ない気持ちになってしまう。
「…………あー、こんなに早くフられるとはなぁ……。ちょっとショックだわ、オレ」
「ホントにゴメンなさい。でもわたし、自分の気持ちにウソつきたくなくて」
「いや、もういいよ。謝んないで。愛美ちゃんがすごくいいコだってことは分かったから。さやかにも何割か……いや何パーセントか分けてやってほしいわ」
「ちょっとお兄ちゃん! それ、どういうイミよ!?」
目くじらを立てた妹に、治樹はしれーっと言い返す。
「愛美ちゃんの優しさを、お前もちったぁ見習え、っつってんの」
「はあっ!?」
(……ヤバ。わたしのせいで兄弟ゲンカ始まっちゃった)
この状況に責任を感じた愛美は、どうにかこの場を収めるためにフォローを入れた。
「あの……、治樹さん。さやかちゃんはすごく優しいし面倒見もいいですよ。わたしなんか、いつもさやかちゃんに助けてもらってばっかりだし」
「そうなんだ……。あ、じゃあさ、これからもさやかと仲良くしてやってよ。こんなヤツだけど」
「だーかーらぁ、こんなヤツ≠チてどういうイミなのよ!?」
「まあまあ。さやかちゃん、落ち着いて!」
またケンカになりそうな牧村兄妹を、愛美は必死になだめた。
「――あ、姉ちゃん。おかえりー。そのお姉さん、誰?」
愛美がさやかと治樹と一緒にリビングへ入ると、あの家族写真に写っていた父親以外の家族がズラッと揃っていた。
そして、その中で中学一年生だというさやかの弟が口を開く。
「ただいま、
翼
(
つばさ
)
。このコはお姉ちゃんの友達で、相川愛美ちゃんだよ」
「翼くんっていうの? よろしくね」
「っていうかアンタ、また靴脱ぎ散らかしたまんまにしてたでしょ。『脱いだ靴はちゃんと揃えなさい』って、いっつもお母さんに言われてるでしょ?」
「あ、ゴメン! 忘れてた」
翼というさやかの弟は、ボサボサ頭を掻きながらペロッと舌を出す。
(素直なコだなぁ)
中学生の男の子なら、反抗期に入っていてもおかしくないのに。両親の育て方がいいからなんだろうか。
(さやかちゃんも治樹さんも優しいし)
「おねえたん、おかえりなさぁい。ココたんも『おかえり』っていってるよー」
「ただいま、
美空
(
みく
)
。ココもただいま」
五歳の妹・美空に微笑みかけたさやかは、彼女が抱っこしている三毛猫の頭を撫でた。
(可愛いなぁ……)
愛美はその光景にホッコリした。
美空は写真で見ても十分可愛かったけれど、実物はそれ以上に可愛い。猫のココを抱っこしている
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