暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第1章 高校1年生
二学期〜素敵なプレゼント☆ A
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よう、さやか! おかえり。……おっ!? キミが愛美ちゃんか。いやー。マジで可愛いじゃん♪」

 さやかの兄・治樹がリビングから玄関まで出てきて、デレデレの顔で愛美を出迎えた。

「……あー、ハイ……」

 そのあまりのチャラ()ぶりに、愛美も困惑する。というか、ドン引きしているといった方が正しいだろうか。

「もう、お兄ちゃん! やめなよ、みっともない! 愛美も引いてんじゃん! ――ゴメンね―、愛美。お兄ちゃん、こんなんで」

「ううん、大丈夫。……ただ、ちょっとビックリしたけど」

 驚いたのは本当だった。愛美は今まで、こういうチャラ男系の男性と接したことがなかったのだ。
 写真だけではそこまで分からなかったので、実際に会って初めて分かった事実に引いてしまっただけだ。

「さやか、お前なぁ……。兄ちゃんに向かってこんなん≠チてなんちゅう言い草だよ」

「だって事実じゃん。長男なのに頼んないし、女の子見たらデレデレ鼻の下伸ばすし。こんなん′トばわりされても仕方ないっしょ」

 そんな愛美をよそに、兄妹で言い合い(というか漫才?)を始めたさやかたちに、愛美は思わず吹き出した。

「はははっ、面白ーい! さやかちゃんって、お兄さんと仲いいんだね―。わたし羨ましいな」

 こうして遠慮なく言い合えるのは、実の兄妹だからだ。施設で育った愛美にとっては、こういう光景も憧れだった。

「愛美っ! もう……。ここ笑うとこじゃないって。……まあいっか」

 さやかは笑っている愛美に抗議しながらも、どこか楽しそうだ。というか、初めて家に来た友達の前で兄とやりあったことがよっぽど恥ずかしかったらしい。

「――あ、お兄ちゃん。そういやお父さんは?」

「今日はちょっと遅くなるって言ってたけど。父さんも愛美ちゃんに会えるの楽しみにしてたから、晩メシには間に合うんじゃねえの?」

「そっか……。四月から新年度だから、今からあちこち注文入るんだよね」

 さやかの父親が経営しているのは、作業服メーカーである。自社製品だけではなく外部の企業からユニフォームの注文も受けているため、この時期は忙しくなるのだ。
 特に、社長の忙しさは他の社員の比ではない。

「――あの、治樹さん……でしたっけ。わたしからちょっとお話があるんですけど」

「ん? なに?」

 治樹が自分に好意を持っているらしいことを思い出した愛美は、思いきって自分から「好きな人がいる」と打ち明けることにした。

「あの……、さやかちゃんからも聞いてると思うんですけど。わたし、他に好きな人がいて。わたしのこと気に入ってくれてるのは嬉しいんですけど、お付き合いとかそういうのは……、ちょっと……。ゴメンなさい」

 本当は、もっと
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